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第3章 囚われの生活

翌日、身なりを整え、迎えに来た背の高い男に連れて行かれた先は、豪商の大きな屋敷だった。

目付きの悪い背の高い男に連れられて歩く八尋の姿を、町の者らがヒソヒソと話している様子だったが、何を言っているのか迄は聞き取れず、その会話も、男が一睨みするとピタと止まった。

屋敷に着くとすぐに風呂に入れられ、食事を取らされた。一座で出された食事よりも数段質が良く、それは素直に嬉しく思った。
特別贅沢な食事、というわけでもなく、ごくごく普通の使用人の食事だったが、以前が悪すぎたのだ。
これが毎日続くなら、飢えずに済む。そう思った。

用意された女物の着物を着、部屋の真綿の布団に寝かされて待った。

部屋に入ってきたのは、ガマのような、猫背で太った、脂ぎった親父だった。

相手に対しては、別に何とも思わなかった。

今までも選べたわけではないし、優しい相手もいなかった。