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残像
第4章 脱走
それから三年が過ぎた。

八尋は十五になったが、背が少しずつ伸びていくだけで、身体は華奢なまま。

座敷牢に囚われているとはいえ、全く人目がないわけではない。世話係の他にも、地下に用のある者は格子戸の前を通り過ぎていく。
八尋に向けられるのは、憐れみ、蔑み、またはそれの混じった複雑な顔が殆どだった。

十五にもなると、声が低くなり、髭が生える者もいる。
自分とさして変わらぬ年恰好だったはずの使用人が、一人前の男のような容姿に変わっていくのを、格子戸の中から眺めた。

八尋は髭も、下の毛も生えることなく、声も高いまま。あの日から、何一つ変わらない。
背だけはひょろりと高いが、十五とは思えぬ幼い容姿のまま、ただ、欲の捌け口であり続けるしかなかった。
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