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残像
第4章 脱走
ある日。

いつものようにおつとめを終え、開口部から座敷牢に降ろされる。

降りた後は階段を巻き上げられ、開口部を閉じられる。

何もする気になれない。

ただ、ぼんやりと座っていた。

「お前、なんで裸なんだ?着るもんねぇのか?夜は冷えるぜ」


見たことのない男だった。

誰だ…
新しい使用人だろうか…

「着るもの…あるよ…」

男の言葉に初めて寒気を感じ、ぶるっと身を震わせ、行李から着物を引っ張りだして着た。

「そんなんしか持ってねぇのかよ」

何がおかしい?

「….お前、こっから出たいか?」

出る?

「俺には時間がねぇ。お前がこのままココに居たいってんなら、俺は行く。だが、出てぇってんなら今すぐ出してやる。どうするかはお前が決めろ。」

出られるのか…?
出て、どうするのだ。
行くところなどない。

でも。
出ていけば、おつとめから解放される…
光明の消えた暗闇から抜け出せるのだろうか…

「出たい」

すると男がニヤッと笑い、

「わかった。ちと待ってろ」

と言って、懐から金串のようなものを出し、錠に差し込んでカチャカチャ動かす。

間も無くカチャリと音がして、錠が開いた。
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