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残像
第5章 陽炎
元々この方法は八尋が自発的にやりだしたものであり、市九郎はそれを快く思わないながらも、代わりの方法も思いつかず、渋々許しているようなところがあった。

女を仲間に引き入れて道具として使うなどという発想は市九郎にはなかっただろう。
仲間になった女が八尋のように自らその役を買って出たとしても、市九郎はそれを許さない。
八尋だから、男だったからすまぬと心で詫びながら辛い役を担わせたのだ。
だが八尋にとっては慣れたことだったし、それで市九郎の役に立てるなら安いものだった。 

そして、十年…
男所帯であった組織に、一人の女が加わる。
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