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残像
第5章 陽炎
八尋は身体を使って巧みに男に取り入り、情報を手に入れた。
これで少しでも市九郎の仕事がやり易くなるのなら、苦ではなかった。

男を好む者は雰囲気でわかったから、そういう者には尻も使わせた。
加虐趣味のある者には前に跪き、足の指から尻の穴まで舐め尽くし、折檻紛いのこともされてやった。
焼けた火箸を押し付けられるのは、痛みが長引くし跡が残るので困ったが…

市九郎には早々にばれ、一度は叱られた。だが八尋は勝手にやっていることだと聞き入れなかった。それ以上踏み込めぬ市九郎は、常々無理をするな、と八尋の身体を気遣ったが、八尋は市九郎の役に立って死ねるなら本望、と思っていたから聞くつもりもなかった。

元より周到な作戦を立てる市九郎にとって、情報は必須。
いつまでも八尋の色仕掛けに頼る訳にはいかない、と思いながら、代わりに女を仲間に入れようとか、そういったことにはならなかった。
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