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残像
第10章 おまけー再会ー
道行く男に声を掛ける。
「この辺に、るいさんという方がやってる料理屋、ご存知ありませんか…?少し、顔に痘痕のあるお姐さんなんですけど…」
聞かれた男はすぐに思い至ったようで、頷いた。
「あぁ、だったら『おにしめや』だろ。この道真っ直ぐ行ったら右に橋があるからよ、そこ渡ったとこだよ。鬼の看板が出てるからすぐわかんだろ」
「どうも、ありがとうございます」
丁寧に頭を下げて別れる。
言われた通りの場所に、その店はあった。
古びた看板には鬼の絵に〆(しめ)と書かれており、鬼を締めるなんて随分物騒な名前だ、と思った。
まだ暖簾は出ていないが、戸を開けて入る。
中には仕込みをしている女がいた。
「悪いけど、店は六ツ(18時頃)からなんだ。まだ仕込中だよ。」
「存知てますよ、るいさん。お久しぶり です。」
「は?えぇと…兄さん、どっかでお会いしましたっけねぇ?」
「前に一度ね。こんな格好してるから判らないかな? 八尋です。鷺の昔の仲間の。」
「えぇ?あら、まぁ確か…前は女の格好してた人?」
「そうです、その八尋です。普段はこんなんですよ。」
「この辺に、るいさんという方がやってる料理屋、ご存知ありませんか…?少し、顔に痘痕のあるお姐さんなんですけど…」
聞かれた男はすぐに思い至ったようで、頷いた。
「あぁ、だったら『おにしめや』だろ。この道真っ直ぐ行ったら右に橋があるからよ、そこ渡ったとこだよ。鬼の看板が出てるからすぐわかんだろ」
「どうも、ありがとうございます」
丁寧に頭を下げて別れる。
言われた通りの場所に、その店はあった。
古びた看板には鬼の絵に〆(しめ)と書かれており、鬼を締めるなんて随分物騒な名前だ、と思った。
まだ暖簾は出ていないが、戸を開けて入る。
中には仕込みをしている女がいた。
「悪いけど、店は六ツ(18時頃)からなんだ。まだ仕込中だよ。」
「存知てますよ、るいさん。お久しぶり です。」
「は?えぇと…兄さん、どっかでお会いしましたっけねぇ?」
「前に一度ね。こんな格好してるから判らないかな? 八尋です。鷺の昔の仲間の。」
「えぇ?あら、まぁ確か…前は女の格好してた人?」
「そうです、その八尋です。普段はこんなんですよ。」