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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第21章 【二十一話】直接対決
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 いつまでも葬儀会場にいても仕方がないということで、景臣と玲那は適当なところで切り上げて、地下の駐車場まで戻った。
 とそこへ、やはり同じように帰るのか、遠目で見ていた川端母娘も降りてきた。
 できたら関わり合いたくなかったが、向こうが気がついてしまったため、玲那は小さく会釈をした。
 それで向こうが去ってくれればと思ったが、やはり願いどおりにはいかず。
 多香枝は焼香の時には涙を見せていたというのに、今はにやにやとにやけた笑みを浮かべて近寄ってきた。
 多香枝がどうして笑っているのか分からない玲那は、正直なところ、恐怖を覚えていた。できたら景臣の後ろに隠れたかったが、それは玲那の矜持が許さなかった。
 だから若干あごを上げ気味にして胸を張って三人を見たのだが、それを向こうはどう思ったのか、いきなり憤慨し始めた。

「まあ! なんなの、あなた!」

 一度聞いたら忘れられない耳に響く金属質な声でそう言われ、玲那は思わず眉をひそめた。
 玲那のその表情に、多香枝は顔を真っ赤にして怒り始めてしまった。
 以前であれば、ここで景臣が割って入って来たのだろうが、すでに玲那には景臣の本性が知られてしまっている。玲那が少しでも景臣に頼る態度を取っていたならばまた違ったのだろうが、玲那は矢面に立つと言わんばかりの態度であったので、口を挟まないことにしたようだった。
 玲那と多香枝はしばらくの間、無言で睨み合っていたが、先に動いたのは、玲那だった。

「この度は山浦社長が残念なことになりまして……お悔やみを申しあげます」

 そう口にして、玲那は丁寧に頭を下げた。長くて黒い髪の毛がさらさらと音を立てて肩から流れる優雅な姿を意表を突かれた三人はぽかんと口を開けて玲那を見ていたのだが、めざとい依里佳がなにかに気がついたようで、目を見開いた。
 そして、大げさなくらい大声で、

「やだ、この人! 首筋にキスマークなんて付けてる! え、もしかして、お父さんとヤッちゃったのっ?」
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