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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第50章 【五十話】嘘ではない、本当の「好き」(了)
離婚届を玲那に託したのも、玲那が自分で考えてそんな行動をするわけがないという玲那のことを見下していた罰だったのだ、と景臣は言った。
「考えていなかったのは、俺だった。玲那が離婚届を出したと聞いて、目が覚めた」
「だって……景臣さん、わたしのことを憎んでいると思ったから、そばにいるのが辛くて」
「あぁ、憎んでいた。俺と同じように過保護に育ってきたくせに、ひねくれずに真っ直ぐに育ったところが憎かった」
でも、と景臣は続ける。
「玲那といると、楽しかったんだ」
「え……楽しんでいたんですか」
「……楽しんでいたんだ、あれでも」
「ベッドの上では楽しそうでしたけれど」
「…………」
「お出かけしても、つまらなそうな顔をしていましたから、面白くないのだろうと思っていました」
「悪かったな、こういう顔なんだよ」
景臣ははーっとため息を吐き、それから玲那を真摯な瞳で見つめた。
「筒宮玲那さん」
「……はい」
「こんな俺だけど、もう一度、結婚してくれますか」
「あの」
「なんだ」
「わたし、筒宮の名は捨てられません」
「知っている。筒宮の名をまた、背負わせてほしい」
「本当ですか?」
「本当だ。それに、次世代の筒宮の器をたくさん作りたいからな」
「え」
「玲那の泣き顔にしか反応しないから泣かせまくるだろうが、それでもいいのなら、結婚してほしい」
「泣かせまくるってのは納得しかねますが、景臣さんのこと、好きですから、わたしからも結婚をお願いしたいと思います」
一人で産んで育てると決心したけれど、やはり景臣とともに産み育てたい。
玲那は景臣の申し入れを受け入れた。
「玲那、愛してる」
「はい、景臣さん、わたしも愛してます」
「嘘偽りない、気持ちを伝えたかった」
「はい」
景臣はそう言うと、玲那の唇に誓うようにキスをした。
【おわり】
「考えていなかったのは、俺だった。玲那が離婚届を出したと聞いて、目が覚めた」
「だって……景臣さん、わたしのことを憎んでいると思ったから、そばにいるのが辛くて」
「あぁ、憎んでいた。俺と同じように過保護に育ってきたくせに、ひねくれずに真っ直ぐに育ったところが憎かった」
でも、と景臣は続ける。
「玲那といると、楽しかったんだ」
「え……楽しんでいたんですか」
「……楽しんでいたんだ、あれでも」
「ベッドの上では楽しそうでしたけれど」
「…………」
「お出かけしても、つまらなそうな顔をしていましたから、面白くないのだろうと思っていました」
「悪かったな、こういう顔なんだよ」
景臣ははーっとため息を吐き、それから玲那を真摯な瞳で見つめた。
「筒宮玲那さん」
「……はい」
「こんな俺だけど、もう一度、結婚してくれますか」
「あの」
「なんだ」
「わたし、筒宮の名は捨てられません」
「知っている。筒宮の名をまた、背負わせてほしい」
「本当ですか?」
「本当だ。それに、次世代の筒宮の器をたくさん作りたいからな」
「え」
「玲那の泣き顔にしか反応しないから泣かせまくるだろうが、それでもいいのなら、結婚してほしい」
「泣かせまくるってのは納得しかねますが、景臣さんのこと、好きですから、わたしからも結婚をお願いしたいと思います」
一人で産んで育てると決心したけれど、やはり景臣とともに産み育てたい。
玲那は景臣の申し入れを受け入れた。
「玲那、愛してる」
「はい、景臣さん、わたしも愛してます」
「嘘偽りない、気持ちを伝えたかった」
「はい」
景臣はそう言うと、玲那の唇に誓うようにキスをした。
【おわり】