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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第22章 【二十二話】玲那の居場所
     ■ □ □

 玲那が顔を上げたのを見て、景臣はネクタイを解きながら顔をのぞき見てきた。その表情は最近よく見かけるようになった、少し馬鹿にしたようなもの。

「待ちきれないのですか」

 そんなつもりはなかったが、そう取られても不思議はない状況。
 ここで肯定すればかわいげもあるのかもしれないが、玲那は首を振った。
 景臣は玲那の反応を想定していたのか、ふんっと鼻で笑った。

「食欲が満たされたら、次は性欲か」
「そういうわけでは……。その」

 玲那は小さく首を振ってから、先ほどから悩んでいることを思い切って口にすることにした。

「あのっ、それより景臣さんっ」
「……なんですか」
「昨日は疲れて朝まで寝てしまいましたけれど、普段はわたし、なにをしていればいいのでしょうか」

 景臣に買われた身であるが、なにをしていればいいのかというのはそういえば取り決めていなかったような気がする。ここで確認しておく必要性があると思った玲那はそう聞いたのだが、景臣は玲那の質問に対して、またもや鼻で笑った。

「まさかそんなことを聞かれるとは思いませんでした」
「……え」
「あなたは俺に買われた。それは理解していますよね?」

 理解はしたくないが、状況的にはそうであるので、渋々うなずいた。
 それが景臣には面白くなかったのか、呆れたかのように片眉を上げた。

「あなたは自分の立場を理解しているのか?」
「……実家を救ってくださったことに関しては感謝していますけど、未だにわたしの身体が対価になることに対して、理解できません」

 玲那は思っていたことを素直に口にすれば、景臣はそれに対してどう思ったのか。
 玲那の腕を軽くつかむと引っ張り、ベッドまで連れてきて、腰掛けさせた。景臣は玲那のすぐそばにひざまずいた。玲那は景臣を見下ろす状態だ。

「あなた自身はご存知ないかもしれませんが」
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