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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第22章 【二十二話】玲那の居場所
 分からなくて首を傾げると、景臣は笑った。

「あなた自身のせい、ですよ」
「……わたし、の?」
「あまりにも崇高で、どこまでも透明な、穢れを知らない瞳。近寄ったら下心を抱えた汚い男たちは、自分が焼き殺されるとでも思ったのではないですか」

 玲那自身はそんなつもりはなかった。
 ただ、どんなときでも顔を上げて、胸を張って真っ直ぐに前を見つめていなさいと教え込まれた。だからどんなに辛くても、顔を上げていた。

「今も俺のことを真っ直ぐ見つめている。穢れのない瞳に、絶望を知らせたくなる」

 玲那は言葉で景臣に好きを伝えられないから、瞳に想いを込めようと思っていただけなのに、そう言われて困ってしまった。

「俺は十朱の名を捨てたかった。それもあったけれど、玲那」

 景臣はそこで言葉を区切ると、口角をあげ、笑った。

「金の力で奪い取り、汚したいと思ったから、あなたを選んだのですよ」

 だから。

「あなたは俺のそばにずっといて、俺にあなたが汚れていく様を見せて。俺の手と舌で、快楽地獄に堕としてあげる」
「それでは……わたしは」
「俺のペットですよ。常に俺のそばに侍っていればいい」

 ペットという言葉に、玲那は首をひねった。

「だれもが手にできなかった高嶺の花を、あの十朱と後ろ指をさされ続けた俺が手に入れた。俺はね、玲那。昔、俺のことを馬鹿にしてきたヤツにあなたを自慢したいのですよ。だからあなたは俺にどこまでもついてこなくてはならない」

 景臣はそういうと、昏く笑った。
 それは、玲那が景臣に質問したことへの回答だった。
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