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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第22章 【二十二話】玲那の居場所
といえば、竹取物語の? と小さく呟くと、景臣は無言でうなずいた。
「かぐや姫は、月のやんごとなき身分の方だけれど、地球にやってきていた。美しいかぐや姫の噂を聞きつけた貴公子たちがかぐや姫に求婚するけれど、無理難題を押しつけて、求婚を断る……。まさしくあなたの状況と一緒ですよね」
「わたしは……月から来たわけでは」
「あなたのその浮き世離れした雰囲気は、実は月から来たのかもしれませんよ。かぐや姫は月で罪を犯し、それを償うために地球にやってきたとも言います。罪を償うまで、月での記憶が消されていたという」
そういう説もあるというのを玲那も見かけたことがあったが、果たしてその罪とはなにと考えたら、玲那には思いつかなくて、考えるのを止めたことを思い出した。
「かぐや姫が犯した罪。……それはきっと、月でも男たちを誘惑し続け、狂わせていったからでしょうね」
「…………」
「あなたの美しさに、何人の男が求婚し、玉砕していったのか。ご存知ないでしょう?」
そんな話は初耳だったので、玲那は首を振った。
景臣は玲那が首を振るのを見て、呆れたように口を開いた。
「あなたは常にガードされていた。どこに行くにも護衛がついて回っていた」
言われてみれば、そうだった。
だからこそ、友だちもできにくかったのかもしれない。
「昔は何人もの護衛をつけていたようですけど、段々と羽振りが悪くなり、大学生の頃になると、ほとんどついていなかったのではないですか?」
それはそのとおりだったので、玲那は小さく肯定した。
「護衛をかいくぐってまで声をかけようとした者がいなかったわけではない。だけどみな、玲那には到達できなかった。それはなぜか」
「かぐや姫は、月のやんごとなき身分の方だけれど、地球にやってきていた。美しいかぐや姫の噂を聞きつけた貴公子たちがかぐや姫に求婚するけれど、無理難題を押しつけて、求婚を断る……。まさしくあなたの状況と一緒ですよね」
「わたしは……月から来たわけでは」
「あなたのその浮き世離れした雰囲気は、実は月から来たのかもしれませんよ。かぐや姫は月で罪を犯し、それを償うために地球にやってきたとも言います。罪を償うまで、月での記憶が消されていたという」
そういう説もあるというのを玲那も見かけたことがあったが、果たしてその罪とはなにと考えたら、玲那には思いつかなくて、考えるのを止めたことを思い出した。
「かぐや姫が犯した罪。……それはきっと、月でも男たちを誘惑し続け、狂わせていったからでしょうね」
「…………」
「あなたの美しさに、何人の男が求婚し、玉砕していったのか。ご存知ないでしょう?」
そんな話は初耳だったので、玲那は首を振った。
景臣は玲那が首を振るのを見て、呆れたように口を開いた。
「あなたは常にガードされていた。どこに行くにも護衛がついて回っていた」
言われてみれば、そうだった。
だからこそ、友だちもできにくかったのかもしれない。
「昔は何人もの護衛をつけていたようですけど、段々と羽振りが悪くなり、大学生の頃になると、ほとんどついていなかったのではないですか?」
それはそのとおりだったので、玲那は小さく肯定した。
「護衛をかいくぐってまで声をかけようとした者がいなかったわけではない。だけどみな、玲那には到達できなかった。それはなぜか」