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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第26章 【二十六話】出掛けたい場所
□ ■ □
玲那が景臣に質問をしようとすれば、はぐらかすかのように唇を塞いでくるか、快楽に沈めてくるかのどちらかで、問いただすことができずにいた。
景臣は玲那がなにを聞こうとしているのか分かっているのか、分からずにどんな質問も許さないという姿勢なのか、それさえも分からない。
結果、部屋にこもって身体をもてあそばれるという、ただれた生活が続いた。
景臣に仕事はなにをしているのかと聞いたとき、親のすねかじりと言っていたが、玲那も変わらない立場であった。
大学を卒業してからこちら、就職をせずに家事手伝いとは名ばかりで、暇と時間を持て余していた。
とはいえ、習い事はたくさんしていたのもあり、家にずっと引きこもっているということはなく、忙しくあちこちに出掛けてはいた。
だからここまで外に出ないというのは初めてで、かなり戸惑う。
玲那は定食屋でいつものように向かい合って朝食を摂っているとき、思い切って景臣に要望を口にした。
「景臣さん」
「……はい」
「少し気分転換に、外に出掛けたいです」
ずっとこもって景臣に身体をもてあそばれ続けている状況はあまりにも不健康すぎて、少し気が滅入っていた。だからそう提案すれば、景臣は切なげに笑った。
その表情を見て、玲那はきゅっと胸が締めつけられたような感覚に陥った。
「では、どこに行きたいですか」
「え……と」
部屋から出たい一心で提案したのだが、具体的にどこか行きたい場所があったわけではない。だからそう聞かれ、玲那は口ごもった。
そういえば、道弘が亡くなった後、景臣の運転する車に乗っていたとき、同じことを聞かれたのを思い出した。
そのときもだったが、玲那は行きたい場所があったわけではなく、こもっていることによる閉塞感から抜け出したくて言っただけであった。返答できないで口ごもっていると、景臣が口を開いた。
「特に行きたい場所がないようでしたら、社長のご遺体がようやく帰ってくることになったそうなので、火葬場まで行きますか」
忘れていたわけではないが、そういえば道弘の遺体はまだ焼かれていなかったことを思い出した。
「──はい」
玲那が景臣に質問をしようとすれば、はぐらかすかのように唇を塞いでくるか、快楽に沈めてくるかのどちらかで、問いただすことができずにいた。
景臣は玲那がなにを聞こうとしているのか分かっているのか、分からずにどんな質問も許さないという姿勢なのか、それさえも分からない。
結果、部屋にこもって身体をもてあそばれるという、ただれた生活が続いた。
景臣に仕事はなにをしているのかと聞いたとき、親のすねかじりと言っていたが、玲那も変わらない立場であった。
大学を卒業してからこちら、就職をせずに家事手伝いとは名ばかりで、暇と時間を持て余していた。
とはいえ、習い事はたくさんしていたのもあり、家にずっと引きこもっているということはなく、忙しくあちこちに出掛けてはいた。
だからここまで外に出ないというのは初めてで、かなり戸惑う。
玲那は定食屋でいつものように向かい合って朝食を摂っているとき、思い切って景臣に要望を口にした。
「景臣さん」
「……はい」
「少し気分転換に、外に出掛けたいです」
ずっとこもって景臣に身体をもてあそばれ続けている状況はあまりにも不健康すぎて、少し気が滅入っていた。だからそう提案すれば、景臣は切なげに笑った。
その表情を見て、玲那はきゅっと胸が締めつけられたような感覚に陥った。
「では、どこに行きたいですか」
「え……と」
部屋から出たい一心で提案したのだが、具体的にどこか行きたい場所があったわけではない。だからそう聞かれ、玲那は口ごもった。
そういえば、道弘が亡くなった後、景臣の運転する車に乗っていたとき、同じことを聞かれたのを思い出した。
そのときもだったが、玲那は行きたい場所があったわけではなく、こもっていることによる閉塞感から抜け出したくて言っただけであった。返答できないで口ごもっていると、景臣が口を開いた。
「特に行きたい場所がないようでしたら、社長のご遺体がようやく帰ってくることになったそうなので、火葬場まで行きますか」
忘れていたわけではないが、そういえば道弘の遺体はまだ焼かれていなかったことを思い出した。
「──はい」