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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第26章 【二十六話】出掛けたい場所
籍は入れていないが、結婚式までは挙げた仲だ。
それに、玲那が行かなければ、だれも立ち会う人がいないのではないだろうか。
その淋しい様子を思い浮かべれば、愛はないけれど情はあったため、玲那はうなずいた。
「社長の遺言を父が承ってまして、海が見える場所で焼いてほしいということです」
「……海が見える場所」
「明日、そこで社長の身体を荼毘に付すと連絡を受けてます。父と小牧が立ち会うことになっているようですが、あなたも立ち会っていただけるのでしたら、社長もお喜びになるかと思いますよ」
「…………はい」
「少し遠いですから、泊まりがけで向かいますか」
景臣は目の前の食事を食べ終わると、失礼しますと断りを入れてトレイを持って奥へ向かった。
この定食屋は、昼と夜はともかく、朝は玲那たち以外の客を見たことがなかった。そのことも不思議に思っていて景臣に聞こうとしたが、やはり質問を口にする前にどろどろにとかされてしまい、聞けていない。
結局、玲那が景臣に歩み寄ろうとしても、景臣はそれを望んでいないのか、そういった時間を持とうとすると、全力で回避されているような気がする。
だけど、今からどこかに出掛けるという。車で行くのだろうから、時間はたくさんある。
そのときに疑問に思っていることを聞こう。
玲那はそう心に決め、景臣の背中を見つめていた。
それに、玲那が行かなければ、だれも立ち会う人がいないのではないだろうか。
その淋しい様子を思い浮かべれば、愛はないけれど情はあったため、玲那はうなずいた。
「社長の遺言を父が承ってまして、海が見える場所で焼いてほしいということです」
「……海が見える場所」
「明日、そこで社長の身体を荼毘に付すと連絡を受けてます。父と小牧が立ち会うことになっているようですが、あなたも立ち会っていただけるのでしたら、社長もお喜びになるかと思いますよ」
「…………はい」
「少し遠いですから、泊まりがけで向かいますか」
景臣は目の前の食事を食べ終わると、失礼しますと断りを入れてトレイを持って奥へ向かった。
この定食屋は、昼と夜はともかく、朝は玲那たち以外の客を見たことがなかった。そのことも不思議に思っていて景臣に聞こうとしたが、やはり質問を口にする前にどろどろにとかされてしまい、聞けていない。
結局、玲那が景臣に歩み寄ろうとしても、景臣はそれを望んでいないのか、そういった時間を持とうとすると、全力で回避されているような気がする。
だけど、今からどこかに出掛けるという。車で行くのだろうから、時間はたくさんある。
そのときに疑問に思っていることを聞こう。
玲那はそう心に決め、景臣の背中を見つめていた。