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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第27章 【二十七話】服従させることが悦び
■ □ □
車はすぐに高速道路に入り、順調に進んでいた。
しかし、すぐに玲那はどこに向かっているのか聞き忘れていたことに気がついた。
「あの……どちらまで」
「そうですねぇ、どこまで行きましょうか」
はぐらかすような景臣の言葉に、玲那は口をへの字にして、景臣に視線を向けた。
「どうしていつもそうやってはぐらかすのですか」
「別にはぐらかしているつもりはありませんよ」
そうして景臣はちらりと玲那に視線を向けた後、正面を向いた。
「俺のそばにいるという絶対条件がつきますが、あなたは自由なのですよ。どこに行っても問題ない」
「それならばっ」
勢いでそう口にしたけれど、言葉が続かなかった。
それならば、どうして欲しいのだろう。
漫画や小説、ドラマのように攫って欲しい? ……攫うって、だれから?
これが道弘が生きていたのならともかく、家のため、仕方がないと思って結婚しようとした相手は、亡くなった。
そしてそれを狙っていたかのようなタイミングで、景臣が名乗り出た。
だからすでに、攫われた状態と言っても過言ではない。
景臣が言うように、玲那は景臣さえ側にいれば、自由の身、なのだろう。
それは果たして自由と言えるのだろうか。
──それは分からないけれど、玲那が望めばきっと、景臣は叶えてくれるだろう。
玲那には行きたい場所はないし、むしろ、景臣が行きたい場所が玲那の行きたい場所になる。
そこまで考えて、自分というものがないことに思わず笑った。
「……行きたい場所なんて、ありません」
自嘲気味に笑いながら口にすれば、景臣は意外そうに片眉を上げた。
「ほう?」
「景臣さんが行きたい場所が、わたしが行きたいところですから」
「へぇ? けなげなことを言えるのですね」
車はすぐに高速道路に入り、順調に進んでいた。
しかし、すぐに玲那はどこに向かっているのか聞き忘れていたことに気がついた。
「あの……どちらまで」
「そうですねぇ、どこまで行きましょうか」
はぐらかすような景臣の言葉に、玲那は口をへの字にして、景臣に視線を向けた。
「どうしていつもそうやってはぐらかすのですか」
「別にはぐらかしているつもりはありませんよ」
そうして景臣はちらりと玲那に視線を向けた後、正面を向いた。
「俺のそばにいるという絶対条件がつきますが、あなたは自由なのですよ。どこに行っても問題ない」
「それならばっ」
勢いでそう口にしたけれど、言葉が続かなかった。
それならば、どうして欲しいのだろう。
漫画や小説、ドラマのように攫って欲しい? ……攫うって、だれから?
これが道弘が生きていたのならともかく、家のため、仕方がないと思って結婚しようとした相手は、亡くなった。
そしてそれを狙っていたかのようなタイミングで、景臣が名乗り出た。
だからすでに、攫われた状態と言っても過言ではない。
景臣が言うように、玲那は景臣さえ側にいれば、自由の身、なのだろう。
それは果たして自由と言えるのだろうか。
──それは分からないけれど、玲那が望めばきっと、景臣は叶えてくれるだろう。
玲那には行きたい場所はないし、むしろ、景臣が行きたい場所が玲那の行きたい場所になる。
そこまで考えて、自分というものがないことに思わず笑った。
「……行きたい場所なんて、ありません」
自嘲気味に笑いながら口にすれば、景臣は意外そうに片眉を上げた。
「ほう?」
「景臣さんが行きたい場所が、わたしが行きたいところですから」
「へぇ? けなげなことを言えるのですね」