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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第27章 【二十七話】服従させることが悦び
     □ ■ □

 景臣は正面を向いたまま、口を開いた。

「あなたは実家があんなせいでお金に関しては敏感なようで、しきりに気にしているようですから教えますけれど、あのマンションの部屋を買ったのも、生活費も、すべて十朱ですよ」
「…………」
「俺はあなたと結婚をすることで十朱を捨てることができると思ったのですが、結局、あの人たちは俺とあなたを飼っているのです。飼育されているのですよ」
「飼育……」
「あの人たちは、俺に対して負い目がある。俺もあなたと一緒で──いえ、あなたは従順であろうとしているのではないから俺とは違うか」

 景臣はそう言うと、一度、口を閉じた。

「俺は従順であるように躾けられた、のですよ。本当にまさしく『飼育』されていますね」

 そういって景臣はくくくと笑った。

「あなたにペットだと言いましたけれど、ペットなのはむしろ俺」
「ペット……」
「すぐに飼い主の手を噛むような、凶暴なペットですよ」

 そう言ってまた景臣は笑ったが、玲那にはなにがおかしいのか分からなかった。

 前に少しの間であったけれど、景臣の両親と話をした。そのときの限りでしかないけれど、そういう感じはまったくなかった。

「金さえあればなんとでもなるとあの人たちは思っている」
「…………」

 それは玲那の両親も似たようなものであった。
 ただ、残念なのは、玲那の両親は浪費をすることには長けていたけれど、稼ぐことは苦手だったというだけだ。

「幼い頃、お金がなくて苦労したのは大変だったとは思うけれど、だからといって、金さえあればいいと思っているなんて、浅ましい」

 金はないよりあればいいけれど、ありすぎるのもよくないのは玲那は分かっていた。

「金さえあればいい。そんな両親が俺は大嫌いだ」
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