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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第27章 【二十七話】服従させることが悦び

吐き捨てるように口にした言葉に、玲那は初めて景臣の人間としての感情をみたような気がした。
今まで景臣とずっと一緒にいて、人間らしさが欠けているように感じていた。一緒に食事をして、寝て、という生活をしても、どうにも景臣が生きている人間のように感じられなかった。
だけど今、初めて、景臣も人間だったと実感することができた。
「だから俺は、あの人たちから大切な金を奪うことにした」
「……それでわたしを『買った』のですか」
「そうですよ。あなたはともかく、あなたのご両親は俺にとってとても都合がよかった」
「…………」
「あの人たちは遠慮がない。金を湯水のごとく使ってくれて、見ていて清々しいですね」
筒宮の家から出てからこちら、両親とはまったく連絡を取っていなかったが、金のことを気にしないでいいとなれば、本当にあの人たちなら遠慮することなく使うだろう。
「昨日辺りからハワイに行っているようですよ」
「…………」
「ハワイの次はドバイに行って、イタリアに行くということです」
あまりのことに信じられなくて、玲那は目を見開いた。
「日本に帰ってきたとき、会社に席があればいいですけどね」
「────っ!」
「あの人たちのことだから、邪魔者がいない間に買収して傘下におさめていそうですね」
「……その方が、従業員たちは幸せだと思います」
「ははっ、これは最高ですね! 娘にまで見放されてしまうとは!」
景臣は皮肉たっぷりにそういったようだが、玲那は本心でそう思っていた。
自分たちは贅沢三昧なのに、社員たちにはケチっているのを玲那は知っていた。だからこそ困窮してきたというのに、あの人たちにはそれが見えていなかった。
「……まともに経営できない人たちがトップにいることは、たくさんの人にとって悲劇です」
「冷静ですね」
「わたしもなにもしなかったので、同罪です」
「なるほど。あなたは口だけですね。俺という庇護者がいるからこそ口にできる言葉」
「…………」
玲那は景臣を睨み付けると、景臣は嬉しそうに笑った。
「そう。そうやって俺を憎めばいい」
「…………」
「反発すればするほど、服従させたときの悦びが大きくなる」
そういって景臣はまた、笑った。
今まで景臣とずっと一緒にいて、人間らしさが欠けているように感じていた。一緒に食事をして、寝て、という生活をしても、どうにも景臣が生きている人間のように感じられなかった。
だけど今、初めて、景臣も人間だったと実感することができた。
「だから俺は、あの人たちから大切な金を奪うことにした」
「……それでわたしを『買った』のですか」
「そうですよ。あなたはともかく、あなたのご両親は俺にとってとても都合がよかった」
「…………」
「あの人たちは遠慮がない。金を湯水のごとく使ってくれて、見ていて清々しいですね」
筒宮の家から出てからこちら、両親とはまったく連絡を取っていなかったが、金のことを気にしないでいいとなれば、本当にあの人たちなら遠慮することなく使うだろう。
「昨日辺りからハワイに行っているようですよ」
「…………」
「ハワイの次はドバイに行って、イタリアに行くということです」
あまりのことに信じられなくて、玲那は目を見開いた。
「日本に帰ってきたとき、会社に席があればいいですけどね」
「────っ!」
「あの人たちのことだから、邪魔者がいない間に買収して傘下におさめていそうですね」
「……その方が、従業員たちは幸せだと思います」
「ははっ、これは最高ですね! 娘にまで見放されてしまうとは!」
景臣は皮肉たっぷりにそういったようだが、玲那は本心でそう思っていた。
自分たちは贅沢三昧なのに、社員たちにはケチっているのを玲那は知っていた。だからこそ困窮してきたというのに、あの人たちにはそれが見えていなかった。
「……まともに経営できない人たちがトップにいることは、たくさんの人にとって悲劇です」
「冷静ですね」
「わたしもなにもしなかったので、同罪です」
「なるほど。あなたは口だけですね。俺という庇護者がいるからこそ口にできる言葉」
「…………」
玲那は景臣を睨み付けると、景臣は嬉しそうに笑った。
「そう。そうやって俺を憎めばいい」
「…………」
「反発すればするほど、服従させたときの悦びが大きくなる」
そういって景臣はまた、笑った。

