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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第30章 【三十話】収骨
 二人のやりとりの内容がよくわからなかったが、なんとなく景臣がこんなにもひねてしまった原因について話しているのではないかと推測できた。

「きみもせっかく一緒に出掛けてくれる人をゲットしたんだから、こもってないで外に出なよ」
「……そのつもりではいる」
「とりあえず、ぼくは行くよ。山浦社長の散骨、任せたよ」
「分かった」

 小牧は心配そうに玲那の顔を見た後、手を振ると去っていった。
 しばらく無言で小牧を見送っていたが、景臣は息を吐き出すと、玲那を車へと誘った。

「さて、どうしましょうか」

 歩きながら景臣は玲那に問いかけてきたが、特にこれといってなにも考えていなかったため、口ごもった。
 景臣にいろいろと聞きたいことがあったけれど、なにから聞けばいいのか分からない。
 とりあえず、やらなければならないことは道弘の願いである散骨だ。

「道弘さまの散骨をまずしましょう」
「……そう、ですね」

 玲那がなにをするのかという提案をしてくるとは思っていなかったのか、景臣の返答はワンテンポ遅れた。

「ところで、景臣さん」
「なんでしょうか」
「散骨するのになにか手続きは必要なのですか」

 景臣は驚いたように瞬きをして、玲那の顔を見た。
 玲那としてはそんな反応が返ってくるとは思っていなくて、戸惑った。

「その……本来ならば、お骨はお墓に納められるのでしょう?」
「そうですね。散骨を巡ってトラブルが起こっていますが、このようにほんの少しですから、問題ないかと」

 とはいえ、と景臣は続けた。

「ケースによっては死体遺棄、死体損壊ととらえられる場合があるようですが」
「……え、そうなのですか?」
「今回は大丈夫でしょう」

 その一言にホッと肩から力を抜いたのを見て、景臣は笑った。
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