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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第31章 【三十一話】散骨
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 玲那と景臣は、斎場から歩いてすぐの臨海公園に来ていた。
 公園といってもお昼前という微妙な時間のせいか、人影は見当たらなかった。
 景臣は向かう場所が決まっているのか、いつもであれば玲那の後ろに静かに従っているのに、珍しく前を歩いていた。
 玲那は景臣の広い背中を見ながら思う。
 さきほど、衝動的に景臣の頬を叩いてしまったが、きちんと謝っていなかった。でも、改めてお詫びをするのも蒸し返すみたいでなんだか嫌だ。
 どうしたものかと悩みながら景臣の背を追いかけていたのだが、急に止まった。玲那も合わせて止まる。

「下に降りて散骨しようと思ったのですが、降りられるような場所がないので、ここで撒きましょう」

 と柵の前に止まり、景臣は玲那を振り返った。
 そういえば、陽射しの下で見る景臣は初めてのような気がする。喪服を着ているせいで死神のように見えて、なんだかアンバランスだ。
 景臣が死神ならば、それが見えている玲那は近々死んでしまうのだろうか。
 そんなことはないと玲那は頭を軽く振って、景臣の側へと近寄った。手を伸ばせば触れることが出来る距離に、景臣は立っている。
 たとえ反発されても、玲那は景臣のことをもっと知りたかった。
 だから手を伸ばそうとしたけれど、拒絶されるかのように手首を掴まれた。

「さあ、あなたの大切な人と自らの手で別れを告げてください」
「……あの」

 大切な人とは道弘のことを指しているのだろうか。
 なんだかずっと誤解されているような気がしたが、どういえば景臣が納得するのか分からなくて、説明の言葉を持たない玲那は口ごもった。
 景臣は、道弘の骨の粉の入った袋を、玲那に手渡してきた。

「梅雨の合間の天気の良い日で、社長は喜んでいることでしょう」
「……そう、ですね」
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