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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第31章 【三十一話】散骨
 だけど、と玲那は思う。
 道弘が亡くなったというのは、まだ実感がない。そもそもが道弘とあまり交流がなかったのだから、それもそうだと玲那は思う。
 柩に入った道弘を見たし、お骨も拾ったのに、今までのように玲那の知らないところでまだ生きているような気がしている。だけど、道弘は亡くなったのだ。玲那の知らないどこかで生きているなんてあり得ない。
 玲那は自分にそう言い聞かせた後、知り合いが亡くなったことに対して、なんの感情も抱けないことに衝撃を感じていた。
 悲しいとも淋しいとも、そんな感情を抱けないでいるのだけど、感情が麻痺してしまっているのか、それとも元から感情の欠落があったことに気がつかなかったのか。
 いや、祖父と祖母が亡くなったときは悲しいという感情を抱いたと思うので、それはない。
 道弘に対してどう思えばいいのか、玲那の中で答えが出ていないせいなのかもしれない。
 それならばせめて、玲那の代わりに天が雨という名の涙を流してくれればよかったのに。
 ここまで清々しい青空が広がっていると、戸惑ってしまう。

「さあ、どうぞ」

 景臣はそう言って玲那に無理矢理、袋を持たせた。
 透明な袋に入った白い粉。
 緩く縛られた口を広げて、柵の向こう側に逆さにして振れば、風に吹かれて海側に舞い散った。

「……あまりにもあっけない」

 袋の中の粉をできるだけ全部出し切ったところで、景臣が袋を回収した。

「これでよかったのでしょうか」

 玲那の問いに、景臣は片眉を上げた。

「社長の意向を実行したまでです」
「道弘さまは……これで満足されたかしら」
「さぁ? それはご本人しか分からないことです。──もっとも、死んでしまったので聞くに聞けないし、満足かどうかも本人さえ分からないでしょう」
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