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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第31章 【三十一話】散骨

口を開けば玲那を傷つける言葉ばかりを口にする景臣に、玲那は怒りを覚え始めていた。
「……景臣さん」
「くくっ、あなたでも怒ることがあるのですね」
その一言で、景臣がわざと玲那を怒らせるような言葉を選んでいたことに気がついた。
「頬を叩かれたとき」
「……あ、あれは」
「すごく、気持ちがよかった」
景臣の思いもよらない発言に、玲那は手を止めた。
「あなたは」
玲那は弁当箱の上に箸を置くと、景臣に顔を向けた。景臣は玲那の視線を感じながら、卵焼きを口に入れた。
「人の神経を逆なでして、楽しいのですか」
「そんなつもりはないですよ。それよりも、俺の言葉が不快だというのは分かるのですね」
「景臣さんっ!」
「甘い言葉がお好みですか」
「どうして!」
景臣はお茶を口にした後、玲那に顔を向けた。景臣と視線が合う。
「俺は、本当なら存在しないのですよ」
「……え?」
「あの人たちが避妊に失敗して、俺ができたのです」
「…………それは、事実、なの、ですか」
「事実ですよ」
もしもそれが事実であったとしても、本人に伝えるのはあまりにも酷な話ではないだろうか。
「でも、だからといって、人に当たり散らしていいわけではないですよね」
「へぇ? 俺を説教しようと?」
「説教なんてしません。しませんが、あなたは周りの人たちを不快にして、どうしたいのですか」
玲那はそれだけ口にすると、箸を持ち直して残りのお弁当を口にした。
隣の景臣は、そんな玲那をじっと見つめていた。
「……景臣さん」
「くくっ、あなたでも怒ることがあるのですね」
その一言で、景臣がわざと玲那を怒らせるような言葉を選んでいたことに気がついた。
「頬を叩かれたとき」
「……あ、あれは」
「すごく、気持ちがよかった」
景臣の思いもよらない発言に、玲那は手を止めた。
「あなたは」
玲那は弁当箱の上に箸を置くと、景臣に顔を向けた。景臣は玲那の視線を感じながら、卵焼きを口に入れた。
「人の神経を逆なでして、楽しいのですか」
「そんなつもりはないですよ。それよりも、俺の言葉が不快だというのは分かるのですね」
「景臣さんっ!」
「甘い言葉がお好みですか」
「どうして!」
景臣はお茶を口にした後、玲那に顔を向けた。景臣と視線が合う。
「俺は、本当なら存在しないのですよ」
「……え?」
「あの人たちが避妊に失敗して、俺ができたのです」
「…………それは、事実、なの、ですか」
「事実ですよ」
もしもそれが事実であったとしても、本人に伝えるのはあまりにも酷な話ではないだろうか。
「でも、だからといって、人に当たり散らしていいわけではないですよね」
「へぇ? 俺を説教しようと?」
「説教なんてしません。しませんが、あなたは周りの人たちを不快にして、どうしたいのですか」
玲那はそれだけ口にすると、箸を持ち直して残りのお弁当を口にした。
隣の景臣は、そんな玲那をじっと見つめていた。

