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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第32章 【三十二話】波乱を呼ぶ遺言書

■ □ □
売り言葉に買い言葉、とまではいかないけれど、普段であれば口にしないような言葉を言ったことに対して、発した本人である玲那は戸惑っていた。
どうしてあんなことを口にしてしまったのだろう。
玲那は景臣に一目惚れした。だけど立場上、気持ちを伝えられなかった。
この想いはずっと秘めていかなければならないと、そんな想いを抱えながら金のためにかなり歳の離れた男と結婚しなければならない自分を哀れんだ。
無力だったとはいえ、そんな状況に陥ったのは、玲那にも一因があったと思う。お金は無尽蔵にあるものではなく、使えば減るし、稼がなければならないことも知っていた。
結局、玲那は大学を卒業した後、就職もせずに花嫁修業といいながら、金のかかる習い事を続けていた。
習い事を止めて、働きに出ていたからといって、玲那の稼ぎでは焼け石に水であるのは分かっていたが、それでも負債がかさむことはなかった。
今にして思えば、道弘との結婚を両親の意向といいつつも拒否ができなかったわけではなく、最終的に受け入れたのは玲那だ。そこで景臣に逢って恋をして、気持ちを伝えられない自分を哀れんでいるあたり、自分本位で自分勝手過ぎた。
そのことを玲那なりに反省をしていたから、景臣のことを好きという気持ちもあり、彼の行為を受け入れてきた。侮辱するような言葉でも玲那は静かに受け入れ、反論してこなかった。
それがいけなかったのだろうか。
景臣の言葉はエスカレートしてきて、さすがの玲那の我慢も限界を迎えた。
景臣が何度も言うように、玲那は金で買われたといっても過言ではない。
だからといって、景臣の行為やひどい言葉を甘受しろというのは、さすがに間違っていると思う。
玲那としては、初めて好きになった人が人に当たり散らすようなひどい人間性を持っていると思いたくなかったのだ。
そんなことを考えていると、車はマンションに着いた。
売り言葉に買い言葉、とまではいかないけれど、普段であれば口にしないような言葉を言ったことに対して、発した本人である玲那は戸惑っていた。
どうしてあんなことを口にしてしまったのだろう。
玲那は景臣に一目惚れした。だけど立場上、気持ちを伝えられなかった。
この想いはずっと秘めていかなければならないと、そんな想いを抱えながら金のためにかなり歳の離れた男と結婚しなければならない自分を哀れんだ。
無力だったとはいえ、そんな状況に陥ったのは、玲那にも一因があったと思う。お金は無尽蔵にあるものではなく、使えば減るし、稼がなければならないことも知っていた。
結局、玲那は大学を卒業した後、就職もせずに花嫁修業といいながら、金のかかる習い事を続けていた。
習い事を止めて、働きに出ていたからといって、玲那の稼ぎでは焼け石に水であるのは分かっていたが、それでも負債がかさむことはなかった。
今にして思えば、道弘との結婚を両親の意向といいつつも拒否ができなかったわけではなく、最終的に受け入れたのは玲那だ。そこで景臣に逢って恋をして、気持ちを伝えられない自分を哀れんでいるあたり、自分本位で自分勝手過ぎた。
そのことを玲那なりに反省をしていたから、景臣のことを好きという気持ちもあり、彼の行為を受け入れてきた。侮辱するような言葉でも玲那は静かに受け入れ、反論してこなかった。
それがいけなかったのだろうか。
景臣の言葉はエスカレートしてきて、さすがの玲那の我慢も限界を迎えた。
景臣が何度も言うように、玲那は金で買われたといっても過言ではない。
だからといって、景臣の行為やひどい言葉を甘受しろというのは、さすがに間違っていると思う。
玲那としては、初めて好きになった人が人に当たり散らすようなひどい人間性を持っていると思いたくなかったのだ。
そんなことを考えていると、車はマンションに着いた。

