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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第33章 【三十三話】道弘の願い

■ □ □
妙な静けさに包まれた室内。
玲那は音を立てないように慎重に首をひねって、室内にいる人たちの顔を見た。
正面に座っている惣一郎は内容を知っていたらしく、特に表情の変化はない。というよりは無表情だった。そういう表情を見ていると、やはり景臣との血のつながりを強く感じずにはいられない。
徐々に右に視線を向けていくと、立ち上がったまま呆然としている依里佳がいた。その横には、焦点の合っていない憂佳。
惣一郎とほとんど年齢が変わらないと思われる二人の弁護士も不測の事態なのか、固まっていた。
玲那は正面に視線を戻すと、惣一郎と視線が合った。それまでは無表情であったが、玲那と視線があったときだけ、柔らかな笑みを返された。
惣一郎は場を見回した後、口を開いた。
「──山浦社長は、近々、嫡出否認の手続きをする予定で、準備をしていました」
「そんな!」
「多香枝さんもお呼びしていたのですが、この場にいらっしゃらないということは、どういうことでしょうかね」
意味深に惣一郎はつぶやき、それから立ち上がった。
「補足しておきますが、私は山浦社長にそこまでする必要はないのではないかと進言しました。というのも、お嬢さん方にはなんの罪もなく、不貞を働き、山浦社長を騙した多香枝さんがすべて悪いわけだからです」
それに、と惣一郎は続けた。
「これまで娘だと思って育ててきたのなら、血のつながりがなくても親子なのですよということもお伝えしたのです」
惣一郎のその一言に、それまでずっと無言だった玲那の背後に立つ景臣が鼻で笑ったのが聞こえたが、振り返ることは出来なかった。
というのも、依里佳がテーブルを強く叩いたからだ。
玲那はいきなりの大きな音に驚いて、身体をびくりと震わせた。背後の景臣は半歩前に出て、玲那の肩に手を置いた。
「ふざけないでよ!」
依里佳はそう言いながら何度もテーブルを叩いた。
怒りたくなる気持ちはよく分かるが、だからといって、テーブルに八つ当たりをするのはよくないと思ったが、玲那は止めることができない。
「どういうこと、あたしはビッチの娘ってことなのっ」
ヒステリックな声に玲那は顔をしかめた。
「ねぇ、どういうことなのよ! 母さんは父さんと結婚した後も父さんとも、別の人ともセックスしたってことなのっ?」
妙な静けさに包まれた室内。
玲那は音を立てないように慎重に首をひねって、室内にいる人たちの顔を見た。
正面に座っている惣一郎は内容を知っていたらしく、特に表情の変化はない。というよりは無表情だった。そういう表情を見ていると、やはり景臣との血のつながりを強く感じずにはいられない。
徐々に右に視線を向けていくと、立ち上がったまま呆然としている依里佳がいた。その横には、焦点の合っていない憂佳。
惣一郎とほとんど年齢が変わらないと思われる二人の弁護士も不測の事態なのか、固まっていた。
玲那は正面に視線を戻すと、惣一郎と視線が合った。それまでは無表情であったが、玲那と視線があったときだけ、柔らかな笑みを返された。
惣一郎は場を見回した後、口を開いた。
「──山浦社長は、近々、嫡出否認の手続きをする予定で、準備をしていました」
「そんな!」
「多香枝さんもお呼びしていたのですが、この場にいらっしゃらないということは、どういうことでしょうかね」
意味深に惣一郎はつぶやき、それから立ち上がった。
「補足しておきますが、私は山浦社長にそこまでする必要はないのではないかと進言しました。というのも、お嬢さん方にはなんの罪もなく、不貞を働き、山浦社長を騙した多香枝さんがすべて悪いわけだからです」
それに、と惣一郎は続けた。
「これまで娘だと思って育ててきたのなら、血のつながりがなくても親子なのですよということもお伝えしたのです」
惣一郎のその一言に、それまでずっと無言だった玲那の背後に立つ景臣が鼻で笑ったのが聞こえたが、振り返ることは出来なかった。
というのも、依里佳がテーブルを強く叩いたからだ。
玲那はいきなりの大きな音に驚いて、身体をびくりと震わせた。背後の景臣は半歩前に出て、玲那の肩に手を置いた。
「ふざけないでよ!」
依里佳はそう言いながら何度もテーブルを叩いた。
怒りたくなる気持ちはよく分かるが、だからといって、テーブルに八つ当たりをするのはよくないと思ったが、玲那は止めることができない。
「どういうこと、あたしはビッチの娘ってことなのっ」
ヒステリックな声に玲那は顔をしかめた。
「ねぇ、どういうことなのよ! 母さんは父さんと結婚した後も父さんとも、別の人ともセックスしたってことなのっ?」

