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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第33章 【三十三話】道弘の願い
聞きたい内容は分かるが、もう少しオブラートに包んで聞けないのだろうか。
しかし、惣一郎は特に表情を変えることなく、淡々と返した。
「山浦社長と多香枝さんの間に夫婦生活があったかどうかはご本人の口から聞かないと分かりませんが、確実に言えるのは、山浦社長と結婚しておきながら、多香枝さんが他の男性と関係を持ったというのは、はっきり分かります」
惣一郎の答えに、依里佳は怒り狂ったようにテーブルを叩いた。
「嘘よ、そんなの嘘! だって母さん、結婚した後にしかそういうことをしちゃいけませんって言っていたわ! あり得ないわよ!」
依里佳の言葉にそれまでずっと黙っていた憂佳が口を開いた。
「依里佳は知らないだろうけど、あの二人、出来婚なのよ」
「えっ」
「だからこそ、あたしたちにそうならないようにと自分の失敗談を元に教育していただけなのよ」
「…………」
憂佳の言葉に依里佳は動きを止め、今度は椅子に崩れ落ち、泣き始めた。
「嘘よー、嘘だって言ってよー」
依里佳が部屋の中が震えるくらいの大声で泣き始めてしまったため、話の続きは無理だと判断した惣一郎は、玲那と景臣に外へ出るようにと目で合図をしてきた。
玲那はそろりと立ち上がり、景臣とともに部屋を抜け出した。
ちなみに公証人はいつの間にか部屋の中からいなくなっていた。惣一郎がどこかのタイミングで部屋から出るように指示を出したのだろう。
二人が部屋を出てすぐに惣一郎と小牧も部屋を出てきた。
小牧はジェスチャーで隣の部屋を指さし、先頭を立って歩き出したので着いていった。
四人は小牧が開けた部屋に入るとすぐに扉を閉めた。そして、だれからともなくため息を吐いた。
「伯父さん、内容をやっぱり知っていたんだね」
「あぁ。立ち合ったからね」
なるほど、それでやたらと玲那が妊娠しているか否かを気にしていたのかと思い当たった。
「……私から言うのもおかしな話なのだけど」
と惣一郎は先に断りを入れ、続けた。
「生前の山浦社長に遺言書を書く際にアドバイスをしたのだけど、彼はことごとく私の話を聞かなかったのだよ」
そう言って、惣一郎は深ーいため息を吐いた。
「法定相続人は民法上では相続財産を受け継ぐことができることが定められているのだよ」
しかし、惣一郎は特に表情を変えることなく、淡々と返した。
「山浦社長と多香枝さんの間に夫婦生活があったかどうかはご本人の口から聞かないと分かりませんが、確実に言えるのは、山浦社長と結婚しておきながら、多香枝さんが他の男性と関係を持ったというのは、はっきり分かります」
惣一郎の答えに、依里佳は怒り狂ったようにテーブルを叩いた。
「嘘よ、そんなの嘘! だって母さん、結婚した後にしかそういうことをしちゃいけませんって言っていたわ! あり得ないわよ!」
依里佳の言葉にそれまでずっと黙っていた憂佳が口を開いた。
「依里佳は知らないだろうけど、あの二人、出来婚なのよ」
「えっ」
「だからこそ、あたしたちにそうならないようにと自分の失敗談を元に教育していただけなのよ」
「…………」
憂佳の言葉に依里佳は動きを止め、今度は椅子に崩れ落ち、泣き始めた。
「嘘よー、嘘だって言ってよー」
依里佳が部屋の中が震えるくらいの大声で泣き始めてしまったため、話の続きは無理だと判断した惣一郎は、玲那と景臣に外へ出るようにと目で合図をしてきた。
玲那はそろりと立ち上がり、景臣とともに部屋を抜け出した。
ちなみに公証人はいつの間にか部屋の中からいなくなっていた。惣一郎がどこかのタイミングで部屋から出るように指示を出したのだろう。
二人が部屋を出てすぐに惣一郎と小牧も部屋を出てきた。
小牧はジェスチャーで隣の部屋を指さし、先頭を立って歩き出したので着いていった。
四人は小牧が開けた部屋に入るとすぐに扉を閉めた。そして、だれからともなくため息を吐いた。
「伯父さん、内容をやっぱり知っていたんだね」
「あぁ。立ち合ったからね」
なるほど、それでやたらと玲那が妊娠しているか否かを気にしていたのかと思い当たった。
「……私から言うのもおかしな話なのだけど」
と惣一郎は先に断りを入れ、続けた。
「生前の山浦社長に遺言書を書く際にアドバイスをしたのだけど、彼はことごとく私の話を聞かなかったのだよ」
そう言って、惣一郎は深ーいため息を吐いた。
「法定相続人は民法上では相続財産を受け継ぐことができることが定められているのだよ」