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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第33章 【三十三話】道弘の願い
道弘も、血を繋いで行く器でしかなかった──。
玲那はそう気がついたが、しかし、その器は壊れてしまい、血が流れ出てしまった。
もしも玲那も同じように器が壊れてしまったら……?
そう考えたら、ぞくりと背筋が凍り付いた。
「だからこそのあの遺言書になったのだけど……。景臣」
「──なんでしょうか」
「景臣の見立てでは、どうなのか」
「どう、とは?」
景臣は惣一郎がなにを言いたいのか理解しておきながらも、目をすがめてそう聞き返した。
「山浦社長の願いは、叶うのか、叶わないのか」
「──さあ?」
そう言って景臣は玲那の肩を抱き寄せて、腕の中におさめた。
「玲那がだれの子を宿していようと、あなたは十朱に組み込むつもりでしょう?」
「いや……。ただ、あまりにも山浦社長が不憫で……」
「それはそうでしょうね。あなたは要りもしない俺も含め、十朱の血を引く者がたくさんいますから!」
「景臣!」
景臣は腕の中にいた玲那を突き放すと、音を立てて扉を開けて、出て行ってしまった。
「どうしてあの子はあんなことを……」
惣一郎の呟きに、玲那は顔を上げた。
玲那はそう気がついたが、しかし、その器は壊れてしまい、血が流れ出てしまった。
もしも玲那も同じように器が壊れてしまったら……?
そう考えたら、ぞくりと背筋が凍り付いた。
「だからこそのあの遺言書になったのだけど……。景臣」
「──なんでしょうか」
「景臣の見立てでは、どうなのか」
「どう、とは?」
景臣は惣一郎がなにを言いたいのか理解しておきながらも、目をすがめてそう聞き返した。
「山浦社長の願いは、叶うのか、叶わないのか」
「──さあ?」
そう言って景臣は玲那の肩を抱き寄せて、腕の中におさめた。
「玲那がだれの子を宿していようと、あなたは十朱に組み込むつもりでしょう?」
「いや……。ただ、あまりにも山浦社長が不憫で……」
「それはそうでしょうね。あなたは要りもしない俺も含め、十朱の血を引く者がたくさんいますから!」
「景臣!」
景臣は腕の中にいた玲那を突き放すと、音を立てて扉を開けて、出て行ってしまった。
「どうしてあの子はあんなことを……」
惣一郎の呟きに、玲那は顔を上げた。