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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第34章 【三十四話】嘘とほんと
■ □ □
惣一郎の悲痛な表情を見て、玲那は顔を上げた。
昨日、景臣は自分は要らない子だと言っていた。それがきっと、彼のひねくれた性格の原因なのだろうと見当はつけたけれど、こんなにも早くに真相を解明できそうな機会が訪れるとは思っていなかった。
「あの……それが……昨日、景臣さんが言っていたのですが」
「ほう?」
「そっ、それがっ」
玲那はさすがに景臣から言われた言葉をそのままに口にするのをはばかれた。真っ赤になってもごもごとしていると、小牧がなにを戸惑っているのか分かったようだ。
「景臣、すぐに『俺は要らなかったんだ』って言うんだけど、伯父さん、なにか心当たりはない?」
「……今もそんなことを言っていたな」
「えーっと、あのっ、その……。ひっ、避妊に失敗してできたんだと……」
「……は? それは景臣が言っていたのかっ」
「はっ、はい」
玲那はようやく景臣が言っていたことを口にできたが、恥ずかしくて仕方がない。耳まで真っ赤になり、俯いた。
「お父さまかお母さまが、景臣さんに直接おっしゃいましたか……?」
「いや、そんなことは言わない」
と即答で惣一郎から返ってきた。
「私も妻も、当初から、子どもはたくさん作ろう、その子たちを立派な弁護士に育てて日本を支えていこうと決めていた。だから、景臣も私たちが望んでいた子なのだよ」
「そう……です、よね」
惣一郎は厳しいところもあるが、景臣を拒絶しているようには見えない。
「伯母さんもすっごく子どもが好きでさ、でもまあ、景臣が産まれた頃はちょうど事務所が軌道に乗り始めて忙しかったかもね」
「……うむ。それはかなり反省している」
ぼくも小さかったから覚えてないけど、と小牧が口を開いた。
「泉生(いずき)とぼくと景臣と三人、一緒にいることが多かったんだけど、泉生は昔っから口が達者で、景臣はよく言い負かされていたな」
「……景臣さんが」
惣一郎の悲痛な表情を見て、玲那は顔を上げた。
昨日、景臣は自分は要らない子だと言っていた。それがきっと、彼のひねくれた性格の原因なのだろうと見当はつけたけれど、こんなにも早くに真相を解明できそうな機会が訪れるとは思っていなかった。
「あの……それが……昨日、景臣さんが言っていたのですが」
「ほう?」
「そっ、それがっ」
玲那はさすがに景臣から言われた言葉をそのままに口にするのをはばかれた。真っ赤になってもごもごとしていると、小牧がなにを戸惑っているのか分かったようだ。
「景臣、すぐに『俺は要らなかったんだ』って言うんだけど、伯父さん、なにか心当たりはない?」
「……今もそんなことを言っていたな」
「えーっと、あのっ、その……。ひっ、避妊に失敗してできたんだと……」
「……は? それは景臣が言っていたのかっ」
「はっ、はい」
玲那はようやく景臣が言っていたことを口にできたが、恥ずかしくて仕方がない。耳まで真っ赤になり、俯いた。
「お父さまかお母さまが、景臣さんに直接おっしゃいましたか……?」
「いや、そんなことは言わない」
と即答で惣一郎から返ってきた。
「私も妻も、当初から、子どもはたくさん作ろう、その子たちを立派な弁護士に育てて日本を支えていこうと決めていた。だから、景臣も私たちが望んでいた子なのだよ」
「そう……です、よね」
惣一郎は厳しいところもあるが、景臣を拒絶しているようには見えない。
「伯母さんもすっごく子どもが好きでさ、でもまあ、景臣が産まれた頃はちょうど事務所が軌道に乗り始めて忙しかったかもね」
「……うむ。それはかなり反省している」
ぼくも小さかったから覚えてないけど、と小牧が口を開いた。
「泉生(いずき)とぼくと景臣と三人、一緒にいることが多かったんだけど、泉生は昔っから口が達者で、景臣はよく言い負かされていたな」
「……景臣さんが」