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第34章 【三十四話】嘘とほんと

　刺されるなんて、なにをどうしたらそんなひどいことをされるのだろうか。

「たぶんそのときに、おまえは要らない子だったんだとか言われたんだと思うよ」
「……ちょうどオレたちも高校受験で景臣をほったらかしてるような状態になっていたからな。淋しかったんだろうな、あいつ」
「景臣、ほんっと淋しがり屋なんだよ」
「…………」

　そんな景臣が一人部屋を出たまま戻らない。もしかして、玲那が探しに来るのを待っているのかもしれない。
　そう思うといても立ってもいられなくて、ドアに手をかけた。

「わたし、景臣さんを探してきます」
「え、あ、ちょっと」
「景臣さんが言っていたのは嘘だったって一刻も早く教えてあげたいんです」
「景臣なら、一つ下の景臣の部屋にいる」
「ありがとうございます、行ってきます！」

　玲那はお礼を口にして、部屋を飛び出した。