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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第35章 【三十五話】悪意
■ □ □
一刻も早く、景臣に真実を伝えたい。
玲那は逸る気持ちを抑えながら部屋を出て、えんじ色のカーペットを早歩きでとおり、エレベーターホールまでたどり着いた。
エレベーターを見ると、一階に止まっているようだった。呼び出して待つ時間ももどかしく、ふと目を横に転じれば、階段があるのに気がついた。
一つ下の階ならば、これを使って降りた方が早い。玲那はそう判断して、階段を使うことにした。
階段室に入ると、カツンと硬質な音が響いた。もう一歩入ると、カツンとまた、音がした。
先ほどの廊下はカーペットが敷かれていたので分からなかったけれど、階段は玲那の履いてるヒールを響かせた。
白い階段に足をかけ、玲那は慎重に降りた。
カツン、カツンと、二段、三段と降りたところで、人の気配を感じたので振り返ろうとしたのだが。
「……えっ」
振り返る隙も与えられず、かなり強い力で玲那の身体が押された。階段を下りるために前傾姿勢だったのもあり、玲那の身体は簡単に傾いだ。周りを見回してつかまるものはないかと見たが、手すりはない。
階下まで直線になっているわけではなく、踊り場があって途中で折れ曲がっているとはいえ、十段以上ある一番上。
玲那の身体は押されたことで宙を舞い……。
「ぐぅっ」
浮遊感の後、悲鳴を上げる間もなくごろごろと転がり落ち、踊り場にたたきつけられた。
一刻も早く、景臣に真実を伝えたい。
玲那は逸る気持ちを抑えながら部屋を出て、えんじ色のカーペットを早歩きでとおり、エレベーターホールまでたどり着いた。
エレベーターを見ると、一階に止まっているようだった。呼び出して待つ時間ももどかしく、ふと目を横に転じれば、階段があるのに気がついた。
一つ下の階ならば、これを使って降りた方が早い。玲那はそう判断して、階段を使うことにした。
階段室に入ると、カツンと硬質な音が響いた。もう一歩入ると、カツンとまた、音がした。
先ほどの廊下はカーペットが敷かれていたので分からなかったけれど、階段は玲那の履いてるヒールを響かせた。
白い階段に足をかけ、玲那は慎重に降りた。
カツン、カツンと、二段、三段と降りたところで、人の気配を感じたので振り返ろうとしたのだが。
「……えっ」
振り返る隙も与えられず、かなり強い力で玲那の身体が押された。階段を下りるために前傾姿勢だったのもあり、玲那の身体は簡単に傾いだ。周りを見回してつかまるものはないかと見たが、手すりはない。
階下まで直線になっているわけではなく、踊り場があって途中で折れ曲がっているとはいえ、十段以上ある一番上。
玲那の身体は押されたことで宙を舞い……。
「ぐぅっ」
浮遊感の後、悲鳴を上げる間もなくごろごろと転がり落ち、踊り場にたたきつけられた。