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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第35章 【三十五話】悪意
 ない、と言えなかった。
 もしもあのとき、景臣が部屋から飛び出していなかったら、玲那は景臣を探しに行くことはなかった。

「……俺は、護衛として失格だ」

 とは言うけれど、まさか事務所の中でまたもや襲われるなんて思いもしないだろう。
 景臣は眉間にしわを寄せたまま、口を開いた。

「もう一度、チャンスをくれるか」
「え……えぇ」
「次こそは、護る」

 真摯な瞳に、玲那の心臓はきゅうっとなった。

 それから景臣は、無言で玲那の手を握り続けていた。
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