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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第36章 【三十六話】拒絶
だけど──。
今日、その景臣から、拒絶をされた。
やはり玲那のこの気持ちを伝えるわけにはいかないと、事前に知ることができた。
この出来事がなかったら、なにかの拍子に、景臣に好きだと言ってしまいそうだったので、これでよかったのだ。
暗闇の中、払いのけられた腕を持ち上げ、そっと見る。
あの時どうして、されるがままになっていられなかったのか。
愛おしいという気持ちが溢れすぎて、もっと景臣を感じたいと思ってしまったのだろうか。
景臣に抱きしめられると、ドキドキもするけれど、安堵する気持ちも大きい。玲那はまだ、この腕の中にいてもいいのだと、景臣に無言で言われているような気がして、とても幸せな気持ちになるのだ。
しかも景臣の腕の中はとても心地が良くて、愛されているのではと錯覚を起こさせる。
──そんなこと、なかったのだ。
景臣は玲那のことが好きではなく、都合のいい身体を『買った』だけだ。
条件さえ合えば、玲那でなくともだれでもよかった。
それは玲那も、景臣に出会うまでは一緒だったから、責める気にはならない。
今の玲那はほかのだれでもない景臣でなければ意味がない。
玲那がそう思っているからといって、必ずしも景臣も同じように思っているわけではない。
それでも。
そうであってくれればという密かな願いは、景臣によって、粉々に砕かれてしまった。
今日、その景臣から、拒絶をされた。
やはり玲那のこの気持ちを伝えるわけにはいかないと、事前に知ることができた。
この出来事がなかったら、なにかの拍子に、景臣に好きだと言ってしまいそうだったので、これでよかったのだ。
暗闇の中、払いのけられた腕を持ち上げ、そっと見る。
あの時どうして、されるがままになっていられなかったのか。
愛おしいという気持ちが溢れすぎて、もっと景臣を感じたいと思ってしまったのだろうか。
景臣に抱きしめられると、ドキドキもするけれど、安堵する気持ちも大きい。玲那はまだ、この腕の中にいてもいいのだと、景臣に無言で言われているような気がして、とても幸せな気持ちになるのだ。
しかも景臣の腕の中はとても心地が良くて、愛されているのではと錯覚を起こさせる。
──そんなこと、なかったのだ。
景臣は玲那のことが好きではなく、都合のいい身体を『買った』だけだ。
条件さえ合えば、玲那でなくともだれでもよかった。
それは玲那も、景臣に出会うまでは一緒だったから、責める気にはならない。
今の玲那はほかのだれでもない景臣でなければ意味がない。
玲那がそう思っているからといって、必ずしも景臣も同じように思っているわけではない。
それでも。
そうであってくれればという密かな願いは、景臣によって、粉々に砕かれてしまった。