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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第37章 【三十七話】交渉

相続税がいくらになるかわからないが、不動産をもらっても正直なところ、玲那の手に余る。しかもあの二人が使っているのなら、なおさらだ。素直に渡してしまったほうがのちのち楽なような気がする。
しかし、預金もかなりの額になるのはこの間の遺言書の開示のときに知っている。だれかの口から両親の耳に入る可能性を考えたら、悩ましい。
「あぁ、そうだった。玲那さん、報告が遅れたのだけど」
「……はい」
「筒宮さんが経営していた会社、申し訳ないが買収させてもらった」
「はい」
それは景臣から可能性があると聞かされていたので、特に驚きはなかった。
「それと、先日、旅行に行った国が気に入ったということで、永住されると聞いているよ」
「え」
「手続きはもちろん、生活支援も十朱が全力でしていくので、玲那さんは気にしなくていい」
「…………」
「買収したといっても、筒宮さんには名誉会長として残っていただいているから、心配しなくていい」
予想どおりとはいえ、それが現実になると、かなり複雑な心境だ。
「さて、玲那さんの心配事はほとんどなくなったと言っていいね。あとは私に任せておいてもらえれば、問題ない」
「……はい」
それでは、と惣一郎は立ち上がり、去っていった。
「……予想どおりすぎて気分が悪いな」
とぼそりと景臣がつぶやくのを聞き、玲那はうつむくことしかできなかった。
しかし、預金もかなりの額になるのはこの間の遺言書の開示のときに知っている。だれかの口から両親の耳に入る可能性を考えたら、悩ましい。
「あぁ、そうだった。玲那さん、報告が遅れたのだけど」
「……はい」
「筒宮さんが経営していた会社、申し訳ないが買収させてもらった」
「はい」
それは景臣から可能性があると聞かされていたので、特に驚きはなかった。
「それと、先日、旅行に行った国が気に入ったということで、永住されると聞いているよ」
「え」
「手続きはもちろん、生活支援も十朱が全力でしていくので、玲那さんは気にしなくていい」
「…………」
「買収したといっても、筒宮さんには名誉会長として残っていただいているから、心配しなくていい」
予想どおりとはいえ、それが現実になると、かなり複雑な心境だ。
「さて、玲那さんの心配事はほとんどなくなったと言っていいね。あとは私に任せておいてもらえれば、問題ない」
「……はい」
それでは、と惣一郎は立ち上がり、去っていった。
「……予想どおりすぎて気分が悪いな」
とぼそりと景臣がつぶやくのを聞き、玲那はうつむくことしかできなかった。

