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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第37章 【三十七話】交渉
だけど……と惣一郎はため息をついた。
「あの内容は、あまりにもあのお嬢さん二人には辛すぎると私は思うのだよ」
それは玲那も同感だったので、うなずいた。
いくら川端姉妹が嫌な人間でも、これまで生きてきて父だと思っていた人に、おまえたちは俺の子ではないから遺産はやらん! と言われたら、辛すぎる。
これが道弘と結婚をして、何年か経っていた状況であったのなら話は違ったのだろうが、籍も入れてないのにもらっていいのか、悩ましい。
「基本は遺言書に従うのですが、今回のケースのように赤の他人に全額渡すという、とんでもない遺言書の場合を想定して、一定の相続人には遺留分制度というものがあるのです」
「……遺留分制度?」
「被相続人の財産であるから、好きに処分をするのはいいものの、被相続人に頼って生きていた人たちに遺産が一銭も入らなければ、その人たちは生活ができなくなって、最悪な場合、死んでしまう。そうならないように、配偶者、直系卑属、直系尊属には遺留分制度が設けられている」
惣一郎が言いたいことはなんとなくわかってきた。
「山浦社長の最期の思いを立てつつ、すべてを譲り受けることに躊躇しているようでしたなら、遺留分は彼女たち二人に分けるということで、問題はありませんか」
それでも、かなりの額になるのを知っている玲那は、すぐに返事を返せなかった。
「社長所有の不動産は、離婚をしたとはいえ、あの二人は好き勝手使っていたみたいだから、譲り渡せばいいのではないか」
と景臣。
「評価額によるが、玲那さんは現金のみを譲り受けるということも可能かもしれない」
「まあ、かなりの相続税を払うことにはなると思うが」
「あの内容は、あまりにもあのお嬢さん二人には辛すぎると私は思うのだよ」
それは玲那も同感だったので、うなずいた。
いくら川端姉妹が嫌な人間でも、これまで生きてきて父だと思っていた人に、おまえたちは俺の子ではないから遺産はやらん! と言われたら、辛すぎる。
これが道弘と結婚をして、何年か経っていた状況であったのなら話は違ったのだろうが、籍も入れてないのにもらっていいのか、悩ましい。
「基本は遺言書に従うのですが、今回のケースのように赤の他人に全額渡すという、とんでもない遺言書の場合を想定して、一定の相続人には遺留分制度というものがあるのです」
「……遺留分制度?」
「被相続人の財産であるから、好きに処分をするのはいいものの、被相続人に頼って生きていた人たちに遺産が一銭も入らなければ、その人たちは生活ができなくなって、最悪な場合、死んでしまう。そうならないように、配偶者、直系卑属、直系尊属には遺留分制度が設けられている」
惣一郎が言いたいことはなんとなくわかってきた。
「山浦社長の最期の思いを立てつつ、すべてを譲り受けることに躊躇しているようでしたなら、遺留分は彼女たち二人に分けるということで、問題はありませんか」
それでも、かなりの額になるのを知っている玲那は、すぐに返事を返せなかった。
「社長所有の不動産は、離婚をしたとはいえ、あの二人は好き勝手使っていたみたいだから、譲り渡せばいいのではないか」
と景臣。
「評価額によるが、玲那さんは現金のみを譲り受けるということも可能かもしれない」
「まあ、かなりの相続税を払うことにはなると思うが」