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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第38章 【三十八話】第二の殺人

■ □ □
惣一郎と会って話をしてから、特に動きはなかったため、だらだらとした日々を過ごしていると、道弘の四十九日がやってきた。四十九日の法要と合わせて納骨式も行うとのことで、山浦家の菩提寺に集まることになった。
参列するのは、火葬場に行ったメンバーだけかと思っていたのだが、川端親子も来るという。玲那はかなり躊躇したが、ここまで来てしまえば、道弘の四十九日の法要に出ないのもなんだか気持ちが悪かったので、出ることにした。
それにここのところ気詰まりだったので、景臣以外の見知った人たちに会えることもあり、道弘には悪いが、気分転換も兼ねてという軽い気持ちでいた。
山浦家の菩提寺は、室町時代から続いている由緒正しいお寺ということで、観光名所にもなっているという。指定された時間より早めに二人は出掛け、境内を散策してみることにした。
夏が近づいて来たとはいえ、まだ梅雨は明けていない。しかも今日は道弘を火葬した日とは真逆で、前日からずっと雨が降っていた。
そんな日に境内を散策するのもと思ったが、しっとりと濡れた本堂や石畳、そしてなによりも息が詰まるほどの緑が、塞ぎがちだった心を和ませてくれたような気がした。
赤い傘をさした玲那の一歩後ろを、黒い傘をさした景臣が続く。
玲那はぼんやりと境内をぶらついていると、雨の匂いの中に混じる、不快な臭いに顔をしかめた。しかもこれ、そんなに遠くないときに嗅いだ覚えが──。
「……え」
記憶をたどると、不吉な事象に結びついた。
この、臭いは──……。
玲那は嫌な予感にとらわれて、一歩後ろにいる景臣を振り返った。景臣は気がついていないのか、玲那が足を止めたことで同じように止まっていたが、無表情だった。
「景臣さん」
惣一郎と会って話をしてから、特に動きはなかったため、だらだらとした日々を過ごしていると、道弘の四十九日がやってきた。四十九日の法要と合わせて納骨式も行うとのことで、山浦家の菩提寺に集まることになった。
参列するのは、火葬場に行ったメンバーだけかと思っていたのだが、川端親子も来るという。玲那はかなり躊躇したが、ここまで来てしまえば、道弘の四十九日の法要に出ないのもなんだか気持ちが悪かったので、出ることにした。
それにここのところ気詰まりだったので、景臣以外の見知った人たちに会えることもあり、道弘には悪いが、気分転換も兼ねてという軽い気持ちでいた。
山浦家の菩提寺は、室町時代から続いている由緒正しいお寺ということで、観光名所にもなっているという。指定された時間より早めに二人は出掛け、境内を散策してみることにした。
夏が近づいて来たとはいえ、まだ梅雨は明けていない。しかも今日は道弘を火葬した日とは真逆で、前日からずっと雨が降っていた。
そんな日に境内を散策するのもと思ったが、しっとりと濡れた本堂や石畳、そしてなによりも息が詰まるほどの緑が、塞ぎがちだった心を和ませてくれたような気がした。
赤い傘をさした玲那の一歩後ろを、黒い傘をさした景臣が続く。
玲那はぼんやりと境内をぶらついていると、雨の匂いの中に混じる、不快な臭いに顔をしかめた。しかもこれ、そんなに遠くないときに嗅いだ覚えが──。
「……え」
記憶をたどると、不吉な事象に結びついた。
この、臭いは──……。
玲那は嫌な予感にとらわれて、一歩後ろにいる景臣を振り返った。景臣は気がついていないのか、玲那が足を止めたことで同じように止まっていたが、無表情だった。
「景臣さん」

