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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第38章 【三十八話】第二の殺人

返事が返ってくるとは思わなくて、玲那は驚いて運転席の景臣に顔を向けた。景臣は無表情のまま、真っ直ぐ向いて運転をしている。
「残念ながら、玲那はかなり怪しいからな」
「怪しいってどういうことですか!」
「第一に、実家の家計は火の車。第二に、籍を入れる前から社長の遺言書によれば、玲那に全財産を譲渡することになっていた。それをなんらかの手段──社長から直接聞いたとか、だな──で内容を知っていた。それなのに、第三、社長の娘たちと分割することになってしまった」
「…………」
「独り占めするには、川端姉妹は邪魔になる」
「わたしは……!」
人を殺してまでお金を手に入れようなんて、玲那は考えたことがなかった。今回の件だって、道弘の最期の願いを聞き入れるために受けたようなものだ。
「──そして、警察は考える。次に殺されるのは、憂佳だ、と」
「……え」
「社長にしろ、下の娘にしろ、玲那が第一発見者だ。警察は第一発見者が犯人だと思えとでも思っているようだし、なによりも、ほら」
と景臣はバックミラーに視線を向けた。
「ご丁寧に尾行してくれている」
玲那は驚いて振り向こうとしたが、景臣の鋭い声でとどまった。
「振り向くな」
振り向かないで後ろを確認するには──と考えて、左のサイドミラーを覗けば、玲那たちが乗る車のふたつほど後ろに、不自然な黒い車があった。たぶんあれが尾行しているという車なのだろう。
「あの様子だと、マンションの近くで張り込みをする気、満々だな」
思いっきり疑われていることに玲那は落ち込んだが、何もしていない身であるので、痛くもかゆくもない。
「こんな時だが、四十九日も過ぎたから、明日、小牧に立ち会ってもらって入籍しようと思う」
「……はい」
そういえば、入籍は道弘の四十九日が過ぎてからという話をしていたのを思い出した。
「──長かった。ようやく……十朱を捨てることができる」
景臣のその一言に、玲那の心はきゅっと痛いくらいに締め付けられた。
「残念ながら、玲那はかなり怪しいからな」
「怪しいってどういうことですか!」
「第一に、実家の家計は火の車。第二に、籍を入れる前から社長の遺言書によれば、玲那に全財産を譲渡することになっていた。それをなんらかの手段──社長から直接聞いたとか、だな──で内容を知っていた。それなのに、第三、社長の娘たちと分割することになってしまった」
「…………」
「独り占めするには、川端姉妹は邪魔になる」
「わたしは……!」
人を殺してまでお金を手に入れようなんて、玲那は考えたことがなかった。今回の件だって、道弘の最期の願いを聞き入れるために受けたようなものだ。
「──そして、警察は考える。次に殺されるのは、憂佳だ、と」
「……え」
「社長にしろ、下の娘にしろ、玲那が第一発見者だ。警察は第一発見者が犯人だと思えとでも思っているようだし、なによりも、ほら」
と景臣はバックミラーに視線を向けた。
「ご丁寧に尾行してくれている」
玲那は驚いて振り向こうとしたが、景臣の鋭い声でとどまった。
「振り向くな」
振り向かないで後ろを確認するには──と考えて、左のサイドミラーを覗けば、玲那たちが乗る車のふたつほど後ろに、不自然な黒い車があった。たぶんあれが尾行しているという車なのだろう。
「あの様子だと、マンションの近くで張り込みをする気、満々だな」
思いっきり疑われていることに玲那は落ち込んだが、何もしていない身であるので、痛くもかゆくもない。
「こんな時だが、四十九日も過ぎたから、明日、小牧に立ち会ってもらって入籍しようと思う」
「……はい」
そういえば、入籍は道弘の四十九日が過ぎてからという話をしていたのを思い出した。
「──長かった。ようやく……十朱を捨てることができる」
景臣のその一言に、玲那の心はきゅっと痛いくらいに締め付けられた。

