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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第40章 【四十話】口淫
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 景臣と小牧とともに役所へ赴き、婚姻届を窓口に提出した。これで玲那と景臣は夫婦になったということになる。
 婚姻届受理証明書も発行してもらい、そしてついでだからと役所でもろもろの手続きを済ませた。

 事務所に戻り、景臣の車でマンションに戻ってお昼を食べた後、部屋に帰った。

 籍を入れたらきっと、また前のように触れてくれる──。
 玲那はそんな淫らな期待を持っていたのだが、景臣は変わらなかった。

「疲れたでしょうから、少し休んでください」

 景臣は玲那にそれだけ告げると、一人、脱衣所へと向かった。遅れて聞こえてくるのは、シャワーの音。
 玲那は定位置になったソファに腰掛けて、大きく息を吐いた。

 景臣は、家族から要らない人間だと思われているとずっと信じているようだ。そんなことないのは惣一郎の口から直接聞いた。
 景臣もきっと、そうではないというのは分かっているのだろうが、確証がないのと今までとり続けた態度を軟化させるタイミングを逃して強がっているだけのような気がしないでもない。
 それとも、景臣は惣一郎からそれは誤解だとはっきりと言って欲しかったのだろうか。となると、この入籍は誤解を解くのにちょうどよかったのかもしれないが、結局、惣一郎は景臣が筒宮と名乗ることを承諾してしまったため、『やはりおまえは必要ない』と遠回しに言われたと誤解される状況になり、溝が埋まるチャンスがなくなってしまった。
 景臣が望むからこそ、惣一郎は願いを受け入れたというのに、だ。

 すでに婚姻届を提出して、受理されてしまった。覆られることはない。
 今さら、取り繕うようにそうではないと言ったところで、景臣は信じないだろう。

 とそこで、玲那は思い出した。
 婚姻届を提出に行く前に、離婚届も書いていた。もしこれを玲那が出したら、景臣はまた十朱に戻ることになる。そうなったとき、惣一郎が景臣を再度、受け入れるチャンスになるのではないだろうか。
 ──と考えたが、玲那はそうではないと首を振った。
 景臣の苗字が筒宮だろうが、十朱だろうが、どちらでもいい。ただ、惣一郎が景臣に一言、それは誤解だとはっきりと言ってくれればいいのだが、それは玲那が願えば叶うのだろうか。
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