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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第45章 【四十五話】真相

■ □ □
しばらくの間、景臣に肩を抱かれて空を見上げていたが、視界の端に人影が見えたのでそちらに視線を向けた。景臣も気がついたようで、同じようにそちらを見た。
「あの……あれ、憂佳さんのように見えますが」
木立の陰にちらちら見えるのは、道弘の葬式の時にも見た喪服とトークハット姿の憂佳。
最悪な状況を想定していた玲那としては、憂佳が生きていたことにホッとした。
「声を掛けた方がいいのでしょうか」
あまり関わり合いたくなかったが、このまま無視するのもなんとなくはばかられて口にすれば、景臣は小さく首を振った。
「その必要はない。向こうから来る」
こちらが憂佳に気がついたのと同じくらいのタイミングで、向こうも気がついたようだ。
ふらふらと足下がおぼつかない様子ではあったが、こちらに近づいてくる。
「玲那、なにがあっても口を開くな」
「え」
どうしてと聞く前に、憂佳は二人の近くへとやってきた。
玲那は景臣から離れようとしたが、景臣は離すどころかさらにきつく肩を抱いてきた。
依里佳は玲那が苦手とするあけすけな物言いをするタイプだったが、憂佳はあまり印象にない。強烈な個性の持ち主である多香枝と依里佳に挟まれて、小さくなっていたことしか思い出せない。
しかし、今、玲那たちの前に立っている憂佳は、にやにやと嫌な笑みを浮かべてこちらを見ていた。その表情は、道弘の葬儀の日、駐車場で見たものと同じだった。
「父さんが死んだから、次はその死神みたいな男に乗り換えたの?」
死神みたいな男とは、景臣のことだろう。
それは玲那も思っていたことではあるけれど、玲那は景臣がきちんと生きている人間であると認識していた。
「ねぇ、父さんのとその男の、どっちが気持ちよかった?」
どっちがと聞かれても、玲那は景臣としか経験がないのだから、答えられない。
「あたしは、父さんが気持ちいいと思うのよ」
しばらくの間、景臣に肩を抱かれて空を見上げていたが、視界の端に人影が見えたのでそちらに視線を向けた。景臣も気がついたようで、同じようにそちらを見た。
「あの……あれ、憂佳さんのように見えますが」
木立の陰にちらちら見えるのは、道弘の葬式の時にも見た喪服とトークハット姿の憂佳。
最悪な状況を想定していた玲那としては、憂佳が生きていたことにホッとした。
「声を掛けた方がいいのでしょうか」
あまり関わり合いたくなかったが、このまま無視するのもなんとなくはばかられて口にすれば、景臣は小さく首を振った。
「その必要はない。向こうから来る」
こちらが憂佳に気がついたのと同じくらいのタイミングで、向こうも気がついたようだ。
ふらふらと足下がおぼつかない様子ではあったが、こちらに近づいてくる。
「玲那、なにがあっても口を開くな」
「え」
どうしてと聞く前に、憂佳は二人の近くへとやってきた。
玲那は景臣から離れようとしたが、景臣は離すどころかさらにきつく肩を抱いてきた。
依里佳は玲那が苦手とするあけすけな物言いをするタイプだったが、憂佳はあまり印象にない。強烈な個性の持ち主である多香枝と依里佳に挟まれて、小さくなっていたことしか思い出せない。
しかし、今、玲那たちの前に立っている憂佳は、にやにやと嫌な笑みを浮かべてこちらを見ていた。その表情は、道弘の葬儀の日、駐車場で見たものと同じだった。
「父さんが死んだから、次はその死神みたいな男に乗り換えたの?」
死神みたいな男とは、景臣のことだろう。
それは玲那も思っていたことではあるけれど、玲那は景臣がきちんと生きている人間であると認識していた。
「ねぇ、父さんのとその男の、どっちが気持ちよかった?」
どっちがと聞かれても、玲那は景臣としか経験がないのだから、答えられない。
「あたしは、父さんが気持ちいいと思うのよ」

