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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第50章 【五十話】嘘ではない、本当の「好き」(了)
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 玲那は婦人科を出た足で、十朱(とあけ)弁護士事務所に向かった。
 そこに行ったからといって景臣に会えるわけもなく、しかも泉生(いずき)も小牧も忙しいから、アポイントメントも取らずに行っても会えると思えなかった。
 だけど、それでも行かずにはいられなかった。

 そして玲那は、事務所の玄関口まで勢いで来たけれど、戸惑った。
 景臣に会って、それでどうするというのだろう。
 妊娠していたと伝えたところで、景臣のことだ、別の男との子どもができたから俺にたかろうとしているのだろうと怒鳴り散らされ、追い返されるのが関の山のような気がしてきた。
 女医に事情を説明したところ、分かりやすいようにとカレンダーに印をつけてくれた。それを見れば、どう考えてもあの日の交わりでできた子どもだ。妊娠週数を見ても間違いない。
 玲那は景臣以外と関係があったわけがないのだけれど、これを口実に景臣とよりを戻そうとするのは都合が良すぎるのかもしれないと思い直し、ここまで来てしまったけれど帰ろうとしたところ、声を掛けられた。

「玲那さん……? だよね」

 その声は、景臣によく似ているけれど、さらに低い声。
 名を呼ばれて振り返れば、やはり景臣によく似ているけれど、景臣よりもきつい印象を与える泉生が立っていた。

「どうした、困りごとか?」
「え……いえ、たまたま通りかかっただけです」
「嘘はいけないなぁ。だってしばらくどうしようか立ち往生していただろ」

 どうやら中から見ていたらしい。

「ちょうど良かった、話がしたいんだ」
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