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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第7章 【七話】契約内容
そこで玲那は景臣の苗字が初めて十朱であるということを知り、思わず景臣と小牧の顔を見比べた。
景臣はいつも無表情ではあるけれど、とても整った顔をしているのを玲那は知っている。かたそうな黒髪は癖はなくてストレートで、黒に近い焦げ茶色の瞳は切れ長で釣り上がっている。
一方の小牧も整った顔をしているけれど、髪の色も地毛なのかどうか分からないが茶色くて柔らかそうな髪質で、垂れ目で瞳の色も青みがかった薄茶色だ。
顔の造作も似ていなくて、二人の間に共通点は見いだせなかった。
玲那が不思議そうに見ているのに気がついた小牧は、楽しそうに笑った。
「ぼくたち似てないけれど、いとこなんだよ」
「いとこ、ですか」
「そ。ぼくは景臣の兄と同じ歳なんだけど、あの人は優秀すぎて相手にしてもらえないんだよ」
そういって小牧はくすくすと面白そうに笑っていたけれど、景臣はやはり無表情だった。
「こいつも一応、弁護士の資格は持ってるのにさ、同じ道を歩むのは嫌だとか言って、しかも十朱の名を捨てたいと親父さまと大げんか。だけどさ、今回、筒宮の名を得られたからって、ころっとあっさり親父さまは折れたってわけだ」
「…………そう、ですか」
「高貴な血がほしい、と」
「高貴な、血」
玲那はその一言に、道弘にも似たようなことを言われたことを思い出した。
高貴な血ってなにと思ったし、それがなにになるのか分からなかったが、玲那の両親もことあるごとにそんなことを口にしていたし、こだわる人はこだわるということを知っていたけれど、まさか景臣までそんなことを気にしていたとは思わなかった。
「私は十朱という名を捨てたい。だからお金であなたを買ったのです」
「…………」
「それに」
景臣はそこで言葉を句切り、小牧に視線を向けた。
「え、この話、するの?」
「隠し通せることではありませんし、自覚していただかないと警備がしにくいですから」
景臣の言葉に、小牧は大きなため息を吐くと、ファイルから別の紙を取り出した。
景臣はいつも無表情ではあるけれど、とても整った顔をしているのを玲那は知っている。かたそうな黒髪は癖はなくてストレートで、黒に近い焦げ茶色の瞳は切れ長で釣り上がっている。
一方の小牧も整った顔をしているけれど、髪の色も地毛なのかどうか分からないが茶色くて柔らかそうな髪質で、垂れ目で瞳の色も青みがかった薄茶色だ。
顔の造作も似ていなくて、二人の間に共通点は見いだせなかった。
玲那が不思議そうに見ているのに気がついた小牧は、楽しそうに笑った。
「ぼくたち似てないけれど、いとこなんだよ」
「いとこ、ですか」
「そ。ぼくは景臣の兄と同じ歳なんだけど、あの人は優秀すぎて相手にしてもらえないんだよ」
そういって小牧はくすくすと面白そうに笑っていたけれど、景臣はやはり無表情だった。
「こいつも一応、弁護士の資格は持ってるのにさ、同じ道を歩むのは嫌だとか言って、しかも十朱の名を捨てたいと親父さまと大げんか。だけどさ、今回、筒宮の名を得られたからって、ころっとあっさり親父さまは折れたってわけだ」
「…………そう、ですか」
「高貴な血がほしい、と」
「高貴な、血」
玲那はその一言に、道弘にも似たようなことを言われたことを思い出した。
高貴な血ってなにと思ったし、それがなにになるのか分からなかったが、玲那の両親もことあるごとにそんなことを口にしていたし、こだわる人はこだわるということを知っていたけれど、まさか景臣までそんなことを気にしていたとは思わなかった。
「私は十朱という名を捨てたい。だからお金であなたを買ったのです」
「…………」
「それに」
景臣はそこで言葉を句切り、小牧に視線を向けた。
「え、この話、するの?」
「隠し通せることではありませんし、自覚していただかないと警備がしにくいですから」
景臣の言葉に、小牧は大きなため息を吐くと、ファイルから別の紙を取り出した。