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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第7章 【七話】契約内容
□ ■ □
景臣は準備周到なもので、玲那の印鑑も道弘と籍を入れるために取り寄せていた戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)も用意していた。
「相変わらず用意周到というか……呆れてものが言えないよ」
「社長から指示をされて準備をしていたものが無駄にならずに済んだだけです」
「しかもこの用紙、証人欄に筒宮氏の名前だけあるって、おまえまさか、山浦氏が亡くなるのを知っていたのか?」
「まさか。先に結婚する二人が名前を書いてから証人欄に署名と捺印をもらうのが本来の流れなのでしょうが、社長と玲那さんが新婚旅行から帰ってくるのと入れ違いのように筒宮夫妻は出張に出るということでしたので、先にいただいておいただけです」
「……それでも、どうせ出すのなら先に二人に書かせてからが筋だろう」
「そうですが、この用紙自体を筒宮さまから預かったのです。筒宮さまにしてみれば、自分たちを助けてくれるのならだれだってよかったということです」
だからこそ、と景臣は続ける。
「社長から借りたお金を私が代わりに返すと伝えたら、お礼にと玲那さんと結婚するように強要してきたのです」
「向こうから結婚を言ってきたのか!」
「そうですよ。傷物になった娘を早いところ手放したかったのでしょう」
「傷物って……。今時、時代錯誤なことを」
「実際、そういうニュアンスで言われましたから」
玲那の両親が玲那のことをもののように扱うというのは今に始まったことではなかったのでそれほど傷つきはしなかったけれど、景臣にそういう風に思われてしまっているということに対して心が痛んだ。
だけどここで違うと言っても、証明するものがない。
「それに私は十朱の名を捨てたかったけれど、父がそれを許してくれませんでしたが、筒宮を名乗ることを伝えたら、あっさりと結婚を許してくれましたからね」
「おまえさぁ……ほんっと十朱が嫌いなんだな」
「ええ。憎んでいますよ」
景臣は準備周到なもので、玲那の印鑑も道弘と籍を入れるために取り寄せていた戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)も用意していた。
「相変わらず用意周到というか……呆れてものが言えないよ」
「社長から指示をされて準備をしていたものが無駄にならずに済んだだけです」
「しかもこの用紙、証人欄に筒宮氏の名前だけあるって、おまえまさか、山浦氏が亡くなるのを知っていたのか?」
「まさか。先に結婚する二人が名前を書いてから証人欄に署名と捺印をもらうのが本来の流れなのでしょうが、社長と玲那さんが新婚旅行から帰ってくるのと入れ違いのように筒宮夫妻は出張に出るということでしたので、先にいただいておいただけです」
「……それでも、どうせ出すのなら先に二人に書かせてからが筋だろう」
「そうですが、この用紙自体を筒宮さまから預かったのです。筒宮さまにしてみれば、自分たちを助けてくれるのならだれだってよかったということです」
だからこそ、と景臣は続ける。
「社長から借りたお金を私が代わりに返すと伝えたら、お礼にと玲那さんと結婚するように強要してきたのです」
「向こうから結婚を言ってきたのか!」
「そうですよ。傷物になった娘を早いところ手放したかったのでしょう」
「傷物って……。今時、時代錯誤なことを」
「実際、そういうニュアンスで言われましたから」
玲那の両親が玲那のことをもののように扱うというのは今に始まったことではなかったのでそれほど傷つきはしなかったけれど、景臣にそういう風に思われてしまっているということに対して心が痛んだ。
だけどここで違うと言っても、証明するものがない。
「それに私は十朱の名を捨てたかったけれど、父がそれを許してくれませんでしたが、筒宮を名乗ることを伝えたら、あっさりと結婚を許してくれましたからね」
「おまえさぁ……ほんっと十朱が嫌いなんだな」
「ええ。憎んでいますよ」