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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第10章 【十話】変色した部屋
■ □ □
小牧の一言に、景臣は大きくため息を吐いた後、口を開いた。
「小牧、おまえが言うように、端から見れば俺には社長を殺す動機はあるかもしれない。だが、殺人を犯すことがどれだけ愚かなことか、よく知っている」
「十朱の名を貶めるにはいいんじゃない?」
「自分の価値を下げてまで、そんなことしてなんになる?」
「きみはよく分からないよ。十朱が憎いのか、親父さまが憎いのか、どっちなんだ」
「……さぁね」
小牧の質問を景臣ははぐらかすと、ドアに手を掛けた。景臣は部屋を一瞥して、後ろにいる小牧を見た。
「小牧」
「ん、なに?」
「この部屋がコーヒー臭いのは、どうやら先ほどのあの怪しい人物がコーヒーを部屋にぶちまけたからみたいだぞ」
「えっ! なんだって! この部屋、ぼくのお気に入りなのに!」
そう言って小牧は景臣を押しのけて慌てて部屋に入って、惨状を目にしたようだ。
「う……わぁ、なんだこれ」
「どうした」
小牧に続いて景臣も部屋に入り、室内を見て、さすがの景臣も顔色を変えた。
「玲那さんっ、無事ですかっ!」
景臣はなにを見たのか、珍しく声を荒げた。
「っ! 玲那さん、どこですか!」
玲那はドアから遠いソファの背後に隠れているため、景臣の立っているところから玲那の姿が見えなかったようだ。
玲那は立ち上がろうとソファの背に手をかけたが、身体に力が入らず、立つことができない。
ソファの背に玲那の手を見つけた景臣は、玲那に走り寄った。
「玲那さんっ」
「あ、はい。すみません……。腰が、抜けちゃって」
玲那の一言に景臣は険しい表情を崩すどころか、ますます眉間にしわを寄せた。
そして、玲那の履いているスカートの裾が汚れているのを見て、血相を変えた。
「小牧、水を持ってこい」
「分かった、ちょっと待ってて」
「あと、タオルを何枚か」
景臣の指示に小牧は部屋を出ていったようだ。
「玲那さん、すみません」
「え……いえ。その、スカートの裾が汚れたくらいです」
玲那の一言にしかし、景臣は首を振った。
「液体がかかったのは、スカートだけですか?」
「え……と、たぶん」
小牧の一言に、景臣は大きくため息を吐いた後、口を開いた。
「小牧、おまえが言うように、端から見れば俺には社長を殺す動機はあるかもしれない。だが、殺人を犯すことがどれだけ愚かなことか、よく知っている」
「十朱の名を貶めるにはいいんじゃない?」
「自分の価値を下げてまで、そんなことしてなんになる?」
「きみはよく分からないよ。十朱が憎いのか、親父さまが憎いのか、どっちなんだ」
「……さぁね」
小牧の質問を景臣ははぐらかすと、ドアに手を掛けた。景臣は部屋を一瞥して、後ろにいる小牧を見た。
「小牧」
「ん、なに?」
「この部屋がコーヒー臭いのは、どうやら先ほどのあの怪しい人物がコーヒーを部屋にぶちまけたからみたいだぞ」
「えっ! なんだって! この部屋、ぼくのお気に入りなのに!」
そう言って小牧は景臣を押しのけて慌てて部屋に入って、惨状を目にしたようだ。
「う……わぁ、なんだこれ」
「どうした」
小牧に続いて景臣も部屋に入り、室内を見て、さすがの景臣も顔色を変えた。
「玲那さんっ、無事ですかっ!」
景臣はなにを見たのか、珍しく声を荒げた。
「っ! 玲那さん、どこですか!」
玲那はドアから遠いソファの背後に隠れているため、景臣の立っているところから玲那の姿が見えなかったようだ。
玲那は立ち上がろうとソファの背に手をかけたが、身体に力が入らず、立つことができない。
ソファの背に玲那の手を見つけた景臣は、玲那に走り寄った。
「玲那さんっ」
「あ、はい。すみません……。腰が、抜けちゃって」
玲那の一言に景臣は険しい表情を崩すどころか、ますます眉間にしわを寄せた。
そして、玲那の履いているスカートの裾が汚れているのを見て、血相を変えた。
「小牧、水を持ってこい」
「分かった、ちょっと待ってて」
「あと、タオルを何枚か」
景臣の指示に小牧は部屋を出ていったようだ。
「玲那さん、すみません」
「え……いえ。その、スカートの裾が汚れたくらいです」
玲那の一言にしかし、景臣は首を振った。
「液体がかかったのは、スカートだけですか?」
「え……と、たぶん」