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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第10章 【十話】変色した部屋
玲那の答えに、景臣は思ったよりも渋い表情を返してきた。
「ソファの向こう側ですが、見ましたか」
「その……コーヒーをかけられそうになったので避けたのですが」
「それは賢明な判断です」
「どういうことですか」
「立てますか?」
景臣にそう聞かれたが、自力で立てそうにない。だから首を振ると、景臣は表情を崩して、困ったような顔を玲那に向けてきた。
ソファの向こう側なら、裏側に回る前に目にしている。ローテーブルの上や絨毯の上にコーヒーがかかって濡れているのは見たけれど、ここまで血相を変えるような出来事ではないのではないだろうか。
それより、いつまでもここに座り込んでいるわけにはいかない。だからもう一度、立ち上がろうとしたが、やはり無理だった。
「もう少し落ち着いたら自分で立てると思います」
「分かりました」
玲那と景臣の間に妙な沈黙が降りた。
とそこへ、足音が聞こえてきた。景臣に言われたものを取りに行っていた小牧が戻ったようだ。
「景臣、バケツに水入れて持ってきたよ。あとはきれいなタオル」
「ありがとう」
「この部屋、下手に触れない方がいいと思うんだけど」
「そうだな」
「警察に連絡は入れたよ」
「分かった」
二人のやりとりに、玲那は無言で聞いているしかできなかった。
「ソファの向こう側ですが、見ましたか」
「その……コーヒーをかけられそうになったので避けたのですが」
「それは賢明な判断です」
「どういうことですか」
「立てますか?」
景臣にそう聞かれたが、自力で立てそうにない。だから首を振ると、景臣は表情を崩して、困ったような顔を玲那に向けてきた。
ソファの向こう側なら、裏側に回る前に目にしている。ローテーブルの上や絨毯の上にコーヒーがかかって濡れているのは見たけれど、ここまで血相を変えるような出来事ではないのではないだろうか。
それより、いつまでもここに座り込んでいるわけにはいかない。だからもう一度、立ち上がろうとしたが、やはり無理だった。
「もう少し落ち着いたら自分で立てると思います」
「分かりました」
玲那と景臣の間に妙な沈黙が降りた。
とそこへ、足音が聞こえてきた。景臣に言われたものを取りに行っていた小牧が戻ったようだ。
「景臣、バケツに水入れて持ってきたよ。あとはきれいなタオル」
「ありがとう」
「この部屋、下手に触れない方がいいと思うんだけど」
「そうだな」
「警察に連絡は入れたよ」
「分かった」
二人のやりとりに、玲那は無言で聞いているしかできなかった。