この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第11章 【十一話】プロポーズでは駄目なのでしょうかと聞けたら良かった
■ □ □
玲那が睨んだところで、景臣の表情は変わらない。
それは分かっていたけれど、景臣の黒に近い焦げ茶の瞳は玲那を探るような光を宿していた。
「警察が出来るのは、巡回の回数を増やして警戒態勢を敷くことくらいですよ」
「それでも充分じゃない!」
「あなたは、先ほどのような目に遭っても、そんなことが言えるのですね」
「だって、おかしいです! わたしから依頼をしたのならともかく、どうして景臣さんからそんな契約を持ちかけてくるのですか」
「言ったではないですか。私は十朱と名乗りたくない、一刻も早く捨て去りたいのです」
「それならっ!」
玲那はそこまで言った後、慌てて口を閉じた。
自分がなにを言おうとしたのかということを考えると、顔が熱い。
──普通にプロポーズすればいいじゃない!
これではまるで、玲那から結婚をねだっているみたいではないか。恥ずかしすぎて、全身が熱い。
玲那は景臣と知り合うまで、恋しいという感情を知らなかった。それは一生知ることのないものだと、思いこんでいた。
だから初めて景臣を見たとき、心臓が止まった。
親が決めた人と結婚しなければならないということは、幼い頃より分かっていた。それでも、玲那とて、年頃の女性だ。夢を見なかったわけではない。夢を見ただけ現実が辛くなるのは知っていたけれど、それでも、理想の相手を考えることは、ままならない現実から逃避が出来て、楽しかった。
だからその理想はあくまでも理想だと、割り切っていた。
ところがである。
玲那の結婚が決まって、改めての顔合わせの席で理想を体現した人と会うなんて、思いもしない出来事が起こってしまった。
だから心の奥底で道弘の死を願っていて──……。
いや、違う。玲那は道弘を殺してない。死んでほしいなんてことも、思ってない。
だから首を振ったのだが、景臣は口を閉ざしてしまった玲那をどう思ったのか、口を開いた。
「それなら?」
玲那が睨んだところで、景臣の表情は変わらない。
それは分かっていたけれど、景臣の黒に近い焦げ茶の瞳は玲那を探るような光を宿していた。
「警察が出来るのは、巡回の回数を増やして警戒態勢を敷くことくらいですよ」
「それでも充分じゃない!」
「あなたは、先ほどのような目に遭っても、そんなことが言えるのですね」
「だって、おかしいです! わたしから依頼をしたのならともかく、どうして景臣さんからそんな契約を持ちかけてくるのですか」
「言ったではないですか。私は十朱と名乗りたくない、一刻も早く捨て去りたいのです」
「それならっ!」
玲那はそこまで言った後、慌てて口を閉じた。
自分がなにを言おうとしたのかということを考えると、顔が熱い。
──普通にプロポーズすればいいじゃない!
これではまるで、玲那から結婚をねだっているみたいではないか。恥ずかしすぎて、全身が熱い。
玲那は景臣と知り合うまで、恋しいという感情を知らなかった。それは一生知ることのないものだと、思いこんでいた。
だから初めて景臣を見たとき、心臓が止まった。
親が決めた人と結婚しなければならないということは、幼い頃より分かっていた。それでも、玲那とて、年頃の女性だ。夢を見なかったわけではない。夢を見ただけ現実が辛くなるのは知っていたけれど、それでも、理想の相手を考えることは、ままならない現実から逃避が出来て、楽しかった。
だからその理想はあくまでも理想だと、割り切っていた。
ところがである。
玲那の結婚が決まって、改めての顔合わせの席で理想を体現した人と会うなんて、思いもしない出来事が起こってしまった。
だから心の奥底で道弘の死を願っていて──……。
いや、違う。玲那は道弘を殺してない。死んでほしいなんてことも、思ってない。
だから首を振ったのだが、景臣は口を閉ざしてしまった玲那をどう思ったのか、口を開いた。
「それなら?」