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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第11章 【十一話】プロポーズでは駄目なのでしょうかと聞けたら良かった
 景臣は涼しい表情で玲那に残酷なことを聞いてきた。
 玲那は景臣のことが好きだ。
 だけどその気持ちは、道弘が死んだとしても、伝えられない。
 だからもう一度、首を振った。

「……わたしに、警護をどうしたいのか先に聞くのが筋ではありませんか」

 そう口にして、違和感の正体がはっきりした。
 そうだ、そこも疑問だったのだ。
 玲那に景臣という人物が警護にあたっているのは、道弘が雇ったからだ。その道弘は昨日、殺されてしまった。殺された雇い主と景臣がどのような契約の上で玲那を護衛しているのか分からないけれど、まずはそこを確認するのが先ではないだろうか。

「それに、道弘さまとの契約はどうなっているのですか」

 玲那の質問に、景臣は目を細めた。玲那のことを少し馬鹿にしたようなその視線に、玲那の背はぞくりと震えた。

「あなたは知らなかったのかもしれませんが」

 景臣はそう前置きしてから続けた。

「私が玲那さんの護衛についた経緯は社長の紹介ですし、確かに社長から金銭は受け取っていますが、最終的にはご実家が払っているのですよ」
「……え」
「社長もあくどいですよね。筒宮家への融資の返済額の中に、こっそりと私への支払いを紛れ込ませているのですから。そのことを筒宮さまにお伝えしたところ、払えないからすぐにでも警護を終了したいとの旨を賜っております」

 だからこそ、と景臣は続ける。

「私もあの脅迫状を目にしていなければ、終了とするところだったのですが、あれを見てしまいましたから」

 景臣は見た目がクールだし、感情で動くような人に見えなかったのだが、違ったというのか。

「玲那さんには悪いですが、これは私にとってチャンスだと思いましたから、あのような提案をさせていただいたのです。それに、あなたは傷物になってしまったのですから」

 ま、今時、気にする男はあまりいないと思いますが、筒宮さまは世間体を大変、気にする方ですからね、と小声で付け加えられた。
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