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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第13章 【十三話】『筒宮』の名の重み
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 道弘との結婚話が来るまで、玲那の中の道弘は、仕事では頼もしそうな人という印象しかなかった。
 健康を気にして身体を鍛えていたということで、歳の割りには身体が引き締まっているであろうというのはスーツの上からでも分かるし、見た目も清潔感があり、イケメンとは言わないが、好ましい顔をしていた。ただ少し、怒りっぽそうで短気なんだろうなと思わせるところはそこそこあった。
 歳は離れていたけれど、玲那の父はことあるごとに道弘と会っているようだったし、玲那もそれほど嫌ではなかった。

 そういえば、と玲那はこの状況にも関わらず、思い出したことがあった。
 道弘との結婚が決まってすぐだったと思うのだが、玲那のところへ一人の女性が現れた。
 その人は、道弘の元妻で、川端多香枝と名乗り、この結婚を取りやめるように言ってきたのだ。
 まだどこにもアナウンスしていなくて、内々に決まったばかりのことをどうして知っているのだろうと不思議に思いつつ、止めろと言われても、玲那には結婚するのも止めるのも自分の意志で決めることができないということを丁重に伝え、帰ってもらった。
 ……そういえば、景臣が護衛についたのは、多香枝が玲那を訪ねてきてすぐだったような気がする。

「あの……道弘さまの元奥さまが道弘さまとの結婚が決まってすぐにいらっしゃったのですが」
「……ほう?」
「玲那さん、その話は本当ですか」
「はい。道弘さまとの結婚を止めるようにと言われたのですが、わたしがそれを決めることではございませんとお伝えしたら、すぐにお帰りになられたのですが、かなりご立腹のようでした」
「……うーむ」
「そのことは、社長には?」
「お伝えしていません」
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