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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第14章 【十四話】器を満たすもの
■ □ □
景臣は手に持っていたプチトマトにもう一度、口づけをすると、つるりと吸い込むようにして口の中へと入れた。
そのまま景臣が食べてしまうのかと思っていたら、玲那の顔に綺麗な景臣の顔が近づいて来て、いきなり唇を重ねられた。
景臣が言ったことが事実なのかどうかは知らないが、道弘との結婚式では腕を組んで歩くということはあったけれど、誓いのキスというものはなかった。玲那はそのことにホッとしていたのだけど、それは景臣が仕組んだことなのだろうか。
だからたった今、景臣と唇を合わせたのが玲那にとってはファーストキスとなる。
まさかのことに玲那は目を見開き、固まった。
しかも景臣は玲那の唇に重ねているだけではなく、舌で器用にこじ開けてきた。
唇を重ねられただけでもパニックに陥っている玲那だったが、さらにそんなことをされ、なされるがまま。景臣の口の中にあったプチトマトは潰れることなく玲那の口の中に転がり込んできた。
そのことを確認した景臣は満足げな表情を浮かべて玲那の唇から離れ、耳元に囁いた。
「さあ、食べてください」
食べてくださいと言われても、口移しされたものを食べるなんてことをしたことのない玲那は戸惑い、景臣を見上げた。
景臣はにこやかな笑みを浮かべていたが、目は笑っておらず、玲那の行動を探るような視線を向けていた。
無理矢理口移しされたトマトを吐き出すという選択肢が玲那になかったわけではない。しかしそれは許さないと言わんばかりの景臣の視線に玲那は意を決し、口の中のプチトマトを転がすと、奥歯に力を入れた。
ぷつり……と独特の感触の後、思っていた以上に生ぬるいトマト果汁が口内にあふれた。そして遅れて感じるのは、独特の酸味とそれを上回る甘み。先ほど食べたプチトマトとは明らかに違う甘みに戸惑った。
玲那はプチトマトを咀嚼すると、グラスに注がれていた水を口に含んだ。水はプチトマトのぬるさを払拭するほど冷たかった。
「嫌いな食べ物はないとうかがっていましたが、トマトはお嫌いですか?」
景臣は手に持っていたプチトマトにもう一度、口づけをすると、つるりと吸い込むようにして口の中へと入れた。
そのまま景臣が食べてしまうのかと思っていたら、玲那の顔に綺麗な景臣の顔が近づいて来て、いきなり唇を重ねられた。
景臣が言ったことが事実なのかどうかは知らないが、道弘との結婚式では腕を組んで歩くということはあったけれど、誓いのキスというものはなかった。玲那はそのことにホッとしていたのだけど、それは景臣が仕組んだことなのだろうか。
だからたった今、景臣と唇を合わせたのが玲那にとってはファーストキスとなる。
まさかのことに玲那は目を見開き、固まった。
しかも景臣は玲那の唇に重ねているだけではなく、舌で器用にこじ開けてきた。
唇を重ねられただけでもパニックに陥っている玲那だったが、さらにそんなことをされ、なされるがまま。景臣の口の中にあったプチトマトは潰れることなく玲那の口の中に転がり込んできた。
そのことを確認した景臣は満足げな表情を浮かべて玲那の唇から離れ、耳元に囁いた。
「さあ、食べてください」
食べてくださいと言われても、口移しされたものを食べるなんてことをしたことのない玲那は戸惑い、景臣を見上げた。
景臣はにこやかな笑みを浮かべていたが、目は笑っておらず、玲那の行動を探るような視線を向けていた。
無理矢理口移しされたトマトを吐き出すという選択肢が玲那になかったわけではない。しかしそれは許さないと言わんばかりの景臣の視線に玲那は意を決し、口の中のプチトマトを転がすと、奥歯に力を入れた。
ぷつり……と独特の感触の後、思っていた以上に生ぬるいトマト果汁が口内にあふれた。そして遅れて感じるのは、独特の酸味とそれを上回る甘み。先ほど食べたプチトマトとは明らかに違う甘みに戸惑った。
玲那はプチトマトを咀嚼すると、グラスに注がれていた水を口に含んだ。水はプチトマトのぬるさを払拭するほど冷たかった。
「嫌いな食べ物はないとうかがっていましたが、トマトはお嫌いですか?」