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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第14章 【十四話】器を満たすもの
 トマトは嫌いなどころか、好きな食べ物だ。だから違うと首を振ると、景臣は首を傾げた。

「それでは、どうして食べないのですか?」

 どうしてと聞かれても、景臣が食べる度になにか言ってくるからそのせいで食欲がなくなったのだ。この男はそれが分かっていながらもそう聞いてくるとは……! と怒りの気持ちがもたげてきた。

「プライドの高いあなたには言葉責めがかなり効きますね」
「っ!」
「怒りに震え、赤くなっている様は官能的で大変素敵です」
「……っ! あなたという人は……!」
「そうやって怒っても、俺を喜ばせるだけですよ?」

 景臣がこんなにひどい人だったとは思わなかった玲那は、さらに顔を赤くした。

「俺の言葉にいちいち反応して、かわいらしい人ですね」

 そういいながら景臣は玲那を挑発するかのように、下ろしている長くて黒い髪を一房取ると、もてあそび始めた。景臣の長い指に巻いたり、離したりを繰り返している。
 この人は相手をするだけ喜ばせてしまう。
 それならば、景臣の存在を今だけいないものとして、食事を済ませてしまおう。
 玲那は景臣に髪をもてあそばれながら、供された食事をすべて口にした。
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