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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第16章 【十六話】ふたりきりの部屋で
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 景臣のキスは思っていた以上に執拗だった。
 玲那の口内に忍び込んできた舌は縦横無尽に走り回り、歯を一本ずつ確かめるように舌先でなぞり、口蓋をくすぐり、舌を絡めると痛いくらいにしごかれ、玲那は涙目になっていた。
 しかもレストランで宣言されたとおり、景臣はことあるごとに玲那の口に唾液を流し込んできて、無理矢理飲ませた。
 普通ならば他人の唾液なんて嫌なはずなのに、景臣にされても嫌と思うどころか嬉しく感じてしまっていることに、玲那はどこかで自分が壊れてしまったのではないかと他人事のように思っていた。
 それよりも玲那は気になることがあった。両手首を縛られているため、景臣と妙な距離ができていて、それが歯がゆい。この微妙な隙間が今の景臣と玲那の関係を示しているようで、苛立ちを覚えた。

「かげ……っ!」

 手首の拘束を解いてほしくてお願いしようと口が離されたときに名前を呼んだのだが、すぐに塞がれ、今度は口紅を落とそうとしているかのように、唇を食べられた。景臣の唇に挟まれ、歯で軽く噛まれると、変な声が出そうになる。
 景臣が唇に歯を立てる度に、玲那の鼻から甘い吐息が洩れた。
 そうしていると、段々と唇が熱を持ち始めたかのようで、熱い。しかも普段は刺激をあまり受けることのない場所であるために、はれぼったくなってきた。
 景臣は唇を食むことに飽きたのか、今度は吸い始めた。くちゅっくちゅっと音をさせては吸い付き、離す。
 景臣がしっかりと腰を支えてくれているからかろうじて立っていたが、景臣にそうやって口づけをされる度に身体から力が抜けて、腰から砕けそうだった。
 ようやく唇が離されたと思ったら、またもや塞がれて、口内に舌が忍び込み、玲那を翻弄していく。
 唇のはれぼったさと熱さに違和感を覚えながらも、玲那は景臣のキスに応えた。
 玲那を煽るように水音が耳朶を叩き、ぬるりと舌が引き抜かれた。
 その途端、身体を支えているのが限界になり、床の上に座り込んだ。

「キスだけで腰砕けになるなんて、本当にあなたという人は淫乱だ」
「違いますっ」
「いいや、違わない。口内の粘膜には性感帯があると言われていますが、淫乱でなければキスだけでこんなに感じまくって乱れるわけがない」
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