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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
彩里は笑った。
「これまでずっと働きづめだったんですもの。少しは休まないと。代わりのきかない大切な身体よ。あなたが休んでも、その分くらいは私が働きますから、気にしないで、ゆっくり寝ていてね」
「兵判大監には逢ったのか?」
いちばん気がかりなことを訊ねると、彩里は笑いながら頷いた。
最初に出てきたのは金家の執事であったが、執事は一旦奥に引っ込み、その次に出てきたのが兵曹判書当人であったらしい。
美貌の女が代理に薬草を持参したと聞き、好き者の兵曹判書は自らその事実を確かめずにはいられなかったようだ。
事態は、自分の抱いていた危惧のとおりになった。俊秀はほろ苦い後悔を噛みしめ、やはり妻を行かせるべきではなかったと暗澹とした想いに駆られた。
「これまでずっと働きづめだったんですもの。少しは休まないと。代わりのきかない大切な身体よ。あなたが休んでも、その分くらいは私が働きますから、気にしないで、ゆっくり寝ていてね」
「兵判大監には逢ったのか?」
いちばん気がかりなことを訊ねると、彩里は笑いながら頷いた。
最初に出てきたのは金家の執事であったが、執事は一旦奥に引っ込み、その次に出てきたのが兵曹判書当人であったらしい。
美貌の女が代理に薬草を持参したと聞き、好き者の兵曹判書は自らその事実を確かめずにはいられなかったようだ。
事態は、自分の抱いていた危惧のとおりになった。俊秀はほろ苦い後悔を噛みしめ、やはり妻を行かせるべきではなかったと暗澹とした想いに駆られた。