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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
身体の熱は物凄い速さで高まってゆく。ほどなく、冷静なもう一人の自分はこの燃え盛る焔、身体中を支配しようとする熱に呑み込まれてしまうだろう。そうなってしまえば、もう、本能と官能に翻弄され、この男の腕の中で痴態を繰り広げるだけの淫らな女に成り下がってしまう
断じて、それだけは避けねばならなかった。自分自身のためではない、あの男と約束したから。
彩里は渾身の力でもがいた。だが、哀しいかな、逃げようとしても逃げられない。
僅かに残った力も、屈強な男の力で封じ込まれてしまう。
あの人でなくてはいや。こんな男に穢されるくらいなら、いっそのこと―。
断じて、それだけは避けねばならなかった。自分自身のためではない、あの男と約束したから。
彩里は渾身の力でもがいた。だが、哀しいかな、逃げようとしても逃げられない。
僅かに残った力も、屈強な男の力で封じ込まれてしまう。
あの人でなくてはいや。こんな男に穢されるくらいなら、いっそのこと―。