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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
「絶対と確信はできないが、兵曹判書の奥方がお前を亭主殺しの下手人として訴える確率は限りなく低いと思うぞ」
俊秀の読みは、恐らく的中しているはずだ。
彩里の心の負担を少しでも軽くしてやりたくて言ったのに、彩里の表情は沈んだままだ。
「まだ、他に何か不安があるのか?」
彩里は淡く微笑んだ。
「違うのよ」
「何がどう違うんだ?」
彩里の言うことが今一つ理解できない。
俊秀は妻の瞳を見つめ、次の言葉を待った。妻の黒い瞳の奥に時折、紅い光が閃いている。
彩里の中に潜む妖獣の血が騒いでいるのだ。俊秀はハッと胸をつかれた。
「金家の女中が見たのは、今の私じゃない。本当の姿に戻った私だったの」
俊秀の読みは、恐らく的中しているはずだ。
彩里の心の負担を少しでも軽くしてやりたくて言ったのに、彩里の表情は沈んだままだ。
「まだ、他に何か不安があるのか?」
彩里は淡く微笑んだ。
「違うのよ」
「何がどう違うんだ?」
彩里の言うことが今一つ理解できない。
俊秀は妻の瞳を見つめ、次の言葉を待った。妻の黒い瞳の奥に時折、紅い光が閃いている。
彩里の中に潜む妖獣の血が騒いでいるのだ。俊秀はハッと胸をつかれた。
「金家の女中が見たのは、今の私じゃない。本当の姿に戻った私だったの」