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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
主人が手をつけようとした女に事の最中に逃げられ、あまつさえ殺されただなんて、世間に知られるのを好むとは思えない」
金ソンイの正室は時の領(ヨン)議(イ)政(ジヨン)の娘だ。幼いときには国王の妃候補として育てられていて、たいそう誇り高い女人だと聞く。美しく賢い名家出の妻を持ちながら、ソンイは今日はあの花、明日はあの花と、さながら花の蜜を求めてさ迷う蝶のように気儘な日々を送っていた。
不実で放蕩者の良人を、夫人はむしろ憎んでさえいるとも、ひそかに囁かれていたのだ。むしろ、ソンイが死んで、これで心の枷から解き放たれたと奥方は歓んでいるかもしれない。
金ソンイの正室は時の領(ヨン)議(イ)政(ジヨン)の娘だ。幼いときには国王の妃候補として育てられていて、たいそう誇り高い女人だと聞く。美しく賢い名家出の妻を持ちながら、ソンイは今日はあの花、明日はあの花と、さながら花の蜜を求めてさ迷う蝶のように気儘な日々を送っていた。
不実で放蕩者の良人を、夫人はむしろ憎んでさえいるとも、ひそかに囁かれていたのだ。むしろ、ソンイが死んで、これで心の枷から解き放たれたと奥方は歓んでいるかもしれない。